昆陽の御池(唖の釣り)~桂吉朝・桂三木助・三升家小勝・春風亭柳朝【動画】






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昆陽の御池~桂吉朝

甚兵衛さんのところへ来た喜六。たくさんの釣り竿が置いてあるのを見て、横町(よこまち)の床屋で若いもんが寄って、この世の中で一番のアホは「魚釣りする人間だ」と言っていたと言い出します。

広い海や川へ出かけて、いるともいないとも分からない魚相手に、小さな針にエサをつけて、一日中じっと眺めてる。魚が欲しいならそれだけ一生懸命働いて、儲かった金で魚屋へ行ったらどんな好きな魚でも買えるのに、朝の早くから弁当を作り、遠い遠いところまで出かけて、足でも踏みはずしたら命が危ない。アホの番付でも作ったら、東の大関だ。

それより上のアホはその釣りしてるのを横でじっと見てる奴。釣れてもその魚が自分のものになるわけでもないのに、忙しい仕事を放りだして、中には大きな荷物を背負ってぼうっと眺めてる。これはアホの横綱だ。

いま聞けば、甚兵衛さんは「竿さえ握ってたらどんな嫌なことがあっても忘れてしまう。また、人が釣ってるのの横に立って見てるだけで嬉しい」と言う。「あんたは大関と横綱を兼ねている。よお、関取ッ!」

これに対して甚兵衛さん、「お前は一月の十日に戎(えべ)っさんへ参ったことないか?」と聞きます。大阪の人間で戎さんに参らない者はないと答えますと「戎さんが右手に持っているのは釣り竿、左手には鯛。釣りをする戎さんはアホか?仲哀天皇のお妃 神功皇后が三韓征伐の際、戦勝の占いとして魚を釣り、占いの結果で釣った魚というので鮎と名付けたが、神功皇后はアホか?」

「唐土では太公望が、真っ直ぐな針に餌も付けず、雨の日も風の日も三年の間、釣りをしているのを周の文王が”この男は魚を釣っているのではない、時節を釣っているのであろう。大した人物に違いない”と登用して軍師、大臣にまで出世をしたが、太公望はアホか?」

喜六はグウの音も出ず「釣りをする人は皆偉い」。甚兵衛は、自分がお前のようにバタバタせずこれだけの暮らしをしているのも釣りのおかげだ。殺生禁断、見つかったらその場で首が飛ぶ”昆陽の御池”で鯉を釣っているのだと話し、今夜にでも一緒に行かないかと誘います。

覚書

上方落語の『唖の魚釣り』が江戸に渡って『唖の釣り』。”昆陽”は(こや)と読み、兵庫県の伊丹市にあります。奈良時代から昆陽寺の聖域として殺生禁断が守られていて、今でも水鳥などがたくさん生息しています。江戸では上野寛永寺の池。将軍家御霊屋があるので殺生禁断が特に厳しかったところです。

もともと上方でも甚兵衛が唖のフリをして許してもらうという展開ですが、どのような言抜けをするかを語らずに切るかたちになって『昆陽の御池』の題となっています。

寄席では、お客さんの中に目の不自由な人がいれば、「犬の目」「景清」や座頭、按摩などの噺は止めるなど気を使っています。当然の配慮なのかもしれませんが、昔、ある落語好きで目の不自由な人が「そういう噺も聞きたいのに自分が行くとやってくれない」のだと残念そうに話していたのを思い出します。

音源もカセット時代には入手できていましたが、特に現在では「昆陽の御池」は流通していません。

唖の釣り~桂三木助

釣り二題 『妻の釣り』『唖の釣り』三升家小勝

唖の釣り 春風亭柳朝(六代目)

落語 唖の釣り ディスコグラフィ

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