まずは落語を聴き比べてみましょう

まずは好きな演目名や噺家の名前を検索してみましょう。

特に指定のない方は、今の季節で人気の落語やおすすめの落語を『トップページ』にまとめていますのでここから選ぶか、ページ上部・下部のメニューに『演目総覧』やテーマ別の『特集』『滑稽噺』『人情噺』『怪談噺』『艶噺』『新作落語』『春夏秋冬』『動物の落語』から選んでください。

ページの構成について

  1. 「映像・音源」
    一つの演目について、Youtubeなどで公開されている映像や音源を複数紹介しています。
    一番上にはその演目を十八番とする噺家のものを掲載しています。まずはここから聴いてみてください。映像や音源はタップすると再生が始まるようになっています。映像や音源がないものもありますが、この噺はまずこの噺家で聴くべきというものについては一番上にしています。

    掲載している演者は、音源が残る古今東西の名人を中心としています。SPレコードやカセットなど現在では入手できない貴重な音源もあります。また、新人や二つ目でも上手いと思ったものはなるべく掲載するようにしています。

    以前はYoutube主体で並べていましたので一番上が終わると次、また次と連続で再生されるようにセットしていたのですが、現在は諸事情によりほとんどが単独での再生になっています。お手数ですが演者ごとに再生してください。同じ噺を聴き比べることで、ストーリーや結末が違う、くすぐりやサゲが違うなど一門の違いや演者の工夫がよくわかり、もっと落語が好きになること請け合いです。

    一番上の映像・音源の下に、噺のあらすじを書いています。サゲのない人情噺(世話噺)は概ね全編のあらすじ、その他は噺の発端や経緯がわかるものに留めて途中で切っています。

  2. 「覚書」
    噺や噺家にまつわるメモを記載しています。講談や芝居などをもとにしている落語や、三遊亭圓朝の長編の抜き読みなどでは、原典や速記本から全体のストーリーを記載したり青空文庫、国会図書館のコレクションなど原本へのリンクを設置しています。また、昔の言葉や事物、地口などでサゲがわかりにくいものや音源のないものについてはここでサゲを記載していることもあります。
  3. 「Spotify」
    Spotifyが落語を配信するようになってきましたので、音源があるものについては順次掲載しています。音楽配信がメインのサブスクリプション(定額利用)のサイトですが、無料登録してログイン状態にしておくことでPC、タブレットでは月に15時間以内ならそのまま聴けます。スマホの場合はアプリが必要ですのであらかじめインストールしておくと、プレビュー再生後にタップでアプリに移動して、その演目かあるいは他の演目がランダムで再生されます。スキップは一日6回できますのでスキップして目的の演目にたどりつくか、そのまま2~3演目ほど聞いていれば大抵その演目が再生されます。次は誰のどんな演目かと、寄席を聴いている感覚で楽しむのがおすすめです。

    有料会員ではPCやタブレットの時間制限やスマホでランダム再生されるなどもなく聴け、音源をダウンロードすることも可能になります。ただ、ダウンロードしたものは有料会員をやめた時点で聴けなくなりますので、痛し痒しといったところです。

  4. ディスコグラフィ
    Amazonで販売されているCDやDVDを紹介しています。やはり手元に持っておきたいというのは、昔人間の感覚なのかもしれませんが、解説書や噺家自身のトークなどでより深く落語を味わうことができるのはCDやDVDならではものです。

    ご存知の通り動画共有サイトでは、噺家自身がチャンネルを持って演目を掲載しているケースも増えてきていますが、噺家や事務所の考え方によってこれらの掲載を一切排除しているところもあります。さまざまな大人の事情でお気に入りの演目が突然消えてしまうなどもあり、やはり可能な限り手元に置いておきたいと思う、今日この頃です。

では、ごゆっくりとお楽しみください。

以下、思いつくままの覚書

落語の値段

寄席に行けば、昼席で2,000円~3,000円、夜席で2,500円~3,500円ほど。人気噺家の独演会などだと4,000円から5,000円くらい。寄席では出演者の数が色物合わせて各席で5~6人くらい、独演会だと前座や二つ目が2・3人で一席ずつ、真打が2~3席くらい。まぁ平均5人(5席)として、1席400円から1,000円くらいの勘定になりましょうか。

CDの値段は、2~3席で1,000円~2,000円程度、DVDだと2,000円~3,000円くらいで、好きな噺家のものを半永久的に自分のものにして、交通費もかからずいつでも好きな時に楽しめると考えるとそう高いものではないと思っています。

全集ものでは、2万円、3万円といったものもありますが、近場に寄席がある人でも、この人を、これを聴くためにと寄席や独演会に通うの比べて、一席あたりの値段に換算すれば安いものだと思います。

落語は音声(CD)、映像(DVD)どちらを選ぶべき?

落語を買う時に、映像(DVD、ブルーレイ)か音声(CD・MP3などデジタル音源)か、はどちらを選ぶべきか悩みますよね。落語には無言でしぐさや表情などで笑いを誘ったりや心情を表したりするものも多くあります。代表格は「蒟蒻問答」あたりでしょうか。演者では桂枝雀や、最近では柳家喬太郎、立川志の輔なども映像があると可笑しさ倍増です。

そういう観るべき落語は音声だけ聴いても、客席は大笑いしているのにこちらは何をやってるのかわからないといった”置いてけぼり”を食わされた感じがして残念な思いをします。古今亭志ん生や桂文楽などは映像は数えるほどしか残っていませんが、白黒の粗い画面であっても音声だけでは気付かなかったしぐさを見ると上手さが際立ち、非常に興味深く感じます。

一方、音声は外出先や電車などに乗っている時や車を運転するときにスマホやCDプレイヤーで聴くことができるメリットがあり、この手軽さは何物にも代えられません。ポータブルDVDプレイヤーなんてものもありますが、電車の中で落語を観るというのはなかなか難しいというか恥ずかしいというか。。

どうしても映像が欲しい噺家や演目はブルーレイかDVDかの選択になりますが、ブルーレイとDVDの違いは映像が”きれい” か “すごくきれい” かというところだけで、まぁ、噺家の姿だけが延々と続く映像の画質にこだわる必要は無いのではないかと思います。

それ以外はCDかデジタル音源のほうがよい。映像は基本的に家で見ることになるので、映画などでも同じですが当初はともかくそうそう取り出して見ることは無くなってきます。CDならMP3などのデジタル音源に変換しておけばスマホでも聴けますし、もともとMP3などのデジタル音源を購入しておけばその手間もいらず、いつでもどこでも落語が聴けるので、やはりこちらがおすすめです。

落語はBOXモノを買うべきか

CD10枚セット、DVDセットなど、”大全” “全集” “名演集”などをまとめて、CDBox DVDBoxとして販売しているものは、古今東西で名人上手と云われた噺家のものです。BOXの中には、その噺家の詳しい経歴やエピソード、演目についての冊子もあり、より深く楽しむことができます。

古今亭志ん生や三遊亭圓生、上方では桂米朝、桂枝雀など、BOXだけでも数種類が存在していて、どれを選んでいいのかわからないといった向きも多いのではないでしょうか。また、落語初心者では、一人の噺家のBOXではなく、多くの大看板の名演と称される『東西落語100選』といったようなのをまず買ってみようという向きもあるかと思います。

落語の演目を知り、名人上手の落語をベースに置きたいということではあながち間違った選択とは言えないのですが、上記のような全集ものでは、マクラが省略されていたり、TVやラジオの放送用の音源が多いために、時間制限で噺をはしょったものが収録されていることが多々あり、そのために噺が”筋”だけになってしまって、噺家独自のくすぐりやダレ場がなく、せわしないというか、本を読んだり、朗読を聞いているのと変わらない印象を受けることもあります。

マクラは、落語の本筋に入る前に、たとえば酒の噺なら酔っ払いの話題や小噺をしたり、本筋とは全く関係のない近況や時事時勢の話をしたり、この噺にはこのマクラと概ね決まっているものや、サゲがわかりにくいためにマクラである程度の説明をしておくというようなこともありますが、”噺家の個性や力量はマクラでわかる”というのは頭に置いておいてください。

落語には、滑稽話、人情噺、怪談噺、艶笑噺などの系統や、与太郎、権助、ケチ、動物、魚などさまざまなテーマもあり、その組み合わせと噺家の資質で、受ける印象は無限大に違います。

まずは、自分の好きな演目をいろいろな噺家で聞いて、自分が”良い”と思う噺家を見つけてください。その気に入った噺家でその演目が含まれているベスト集BOXがあればそれを購入するのが良いです。

一点、気をつけていただきたいのは、たとえば古今亭志ん生や笑福亭松鶴といった名人・大看板には、中風(脳溢血)を患って晩年には呂律がよく回らなくなっている録音があります。これを最初に聞いてしまうと、「なんだ、呂律も回らないヘロヘロの爺さんじゃん」と、自分の聴きたい噺家のリストから排除してしまうことがあります。特に昔の噺家を聴く時にはまず、十八番(おはこ)とされていてアブラの乗っている時の音源、できれば映像で観ることを忘れないでください。

これを聞いても自分に合わないということであればしょうがないですが、最盛期のものを聴いてからヘロヘロのものを聴くと最初の印象とは全く違って一層味わい深いものを感じることができます。

彦六の正蔵なども同じで、晩年には木久蔵のモノ真似の通りのヘロヘロになりましたが、私は眠れない夜などはあの声を聞いていると心が落ち着いて、知らぬ間に心地よく眠ることができることに気づき、以来そういう日が幾日あったか数え切れないほどお世話になっています。

話が長くなりました。BOXものは、
1.大看板などの寄せ集めモノはおすすめしない。
2.いろいろな噺家で好きな演目の聴き比べをしてみて自分の好きな噺家・演目のものを一品だけ買う。
3.もっとその噺家のものを聴きたいと思ったら、マクラのふんだんに入っている独演会などのBOXを買う。
ということで進めていくのがよいかと思います。

昭和の名演を聴きたい人のために

BOXは、気に入った噺家の独演会モノを買うべし、と書きましたが、これは例外かというのをひとつご紹介しておきます。

席亭 立川談志の「ゆめの寄席」

席亭 立川談志の「ゆめの寄席」は、談志が席亭となって選んだ落語、漫才などの名演を10枚のCDに収めたもので、落語だけに留まらず音曲や漫才など、昭和を代表する落語家や漫才師の解説と音源の集大成になっています。

談志の解説も面白く、選ばれている芸人や演目も良く、もう音源が流通していない人たちも多い貴重なコレクション。世代の人たちはもちろん、この世代を知らない人たちも楽しめると思います。このボリュームで8千円なら買いでしょう。

Disk1.柳家金語楼、海原お浜・小浜、金原亭馬生
Disk2.桂文治、柳家小半治
Disk3.古今亭甚語楼、青空千夜・一夜、三笑亭可楽
Disk4.春風亭小柳枝、桂三木助
Disk5.三遊亭金馬、山野一郎、三遊亭円歌
Disk6.鈴々舎馬風、西川たつ、三遊亭圓生
Disk7.柳家つばめ、中田ダイマル・ラケット、柳家小さん
Disk8.林家三平、柳家三亀松、桂文楽
Disk9.金原亭馬の助、東武蔵、春風亭柳好
Disk10.三遊亭円遊、リーガル千太・万吉、アダチ龍光、古今亭志ん生

落語の本はどれを読むべきか

落語の本には、落語そのものや噺家ごとの口演速記や解説をしたもの、噺家の自伝、エッセイ的なものもあります。

落語のことを知りたいという初心者や、もっと知りたいという方へのおすすめはなんと言っても興津要の『古典落語』(全7巻)です。古い本ですが、古典落語のすべてがこの本に詰まっていますので少なくとも1巻(上)と2巻(下)は読んでおくことをおすすめします。

また、『落語百選』(春夏秋冬 全4巻 麻生芳伸著)は四季の落語を4冊にわけて口演筆記と解説を載せています。こちらもすぐれた著書です。季節に合わせた落語を聴く時に合わせて読むといい感じです。

もうひとつ『落語名作200選』(上下・京須偕充著 2014年角川ソフィア刊)は、各演目のプロットと解説がセットになっていて昭和・平成でどの噺家が得意にしていた、現役ならこの噺家で、なども書かれています。お若い方や寄席へ行く前の予備知識にはこちらのほうが読みやすいかもしれません。

噺家の口演速記については、江戸落語では『志ん生の噺』(全5巻 古今亭志ん生 著, 小島貞二 編集)、上方落語では『上方落語 桂米朝コレクション』(全8巻 桂米朝 著)がおすすめです。いずれも実際の高座の口述が掲載され、米朝のものでは米朝自身が解説や工夫を書いているので非常に興味深く読むことができます。

三遊亭圓朝の速記本など著作権が切れているものはAmazon Kindle青空文庫国会図書館のデジタルライブラリなどで無料で読むことができます。「真景累ヶ淵」「鰍沢雪の夜噺」「怪談牡丹灯籠」「文七元結」「菊模様皿山奇談」「塩原多助一代記」など、題名で検索してみてください。

1.志ん生滑稽ばなし

2.志ん生艶ばなし

3.志ん生人情ばなし

4.志ん生長屋ばなし

5.志ん生廓ばなし

古今亭志ん生
びんぼう自慢

桂米朝コレクション
全8巻セット 

桂米朝コレクション
〈1〉四季折々 

桂米朝コレクション
〈2〉奇想天外

桂米朝コレクション
〈3〉愛憎模様

桂米朝コレクション〈4〉
商売繁盛

桂米朝コレクション〈5〉
怪異霊験 

桂米朝コレクション〈6〉
事件発生

桂米朝コレクション〈7〉
芸道百般

桂米朝コレクション〈8〉
美味礼賛

興津要
古典落語(上)

興津要
古典落語(下)

麻生芳伸
落語百選
春夏秋冬全4巻

京須偕充
落語名作200席(上)

京須偕充
落語名作200席(下)

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