『お笑い・漫才芸人列伝』
古今東西のお笑い・漫才芸人の貴重な映像・音声を集積。
明治・大正・昭和・平成・令和の数々の芸人を、映像と音声で紹介します。
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文弥の幽霊出るに出られず
さんま芝居~三遊亭円歌
兄貴との旅から帰ってきた弟分。もう少しで江戸というところの宿場で、さんまに大根おろしをたっぷりとかけて、ここはさんまばかりだだなと愚痴を言いながら食べています。表をずいぶん人が通るので、何かと聞いてみますと鎮守様の祭りで、歌舞伎役者の化物の名人が来ている、名は市川怨霊と無念造という。
坊主が殺されて化ける話と聞いて二人も観に出かけることにします。粗末な芝居小屋まで来ますと演し物は『蔦紅葉宇都谷峠・文弥殺しの場』大根役者で観ていられないが村人は満足そう。
芝居が進み、文弥が伊丹屋重兵衛に百両奪われて殺され、谷底へ突き落される、重兵衛が花道にかかったところへ文弥が幽霊となってから登場する場面。場内は静まり返りますが、道具方が煙用の花火を宿屋に忘れて煙が出ず、幽霊が出られない。
覚書
『蔦紅葉宇都谷峠』(つたもみじ うつのや とうげ)は初代金原亭馬生作の人情噺(世話噺)で、黙阿弥が芝居に直したことで知られます。「許してくだされ文弥殿」という科白は「許してくだされ〇〇殿」という流行語にもなりました。
この『蔦紅葉宇都谷峠』をさらに直したのが『毛氈芝居』で、古今亭志ん生、彦六の正蔵などが得意にしていました。
以下、『蔦紅葉宇都谷峠』のあらすじ。
文弥の子守をしていた姉のお菊は、文弥を誤って石の上に落として盲目にしてしまいます。せめてもの償いと、吉原へ身を売って百五十両の金を作り、文弥に京へ行って盲人の官位である”市名”を取って身を立てるようにと言います。
ちなみに盲人の官名は上から”検校” “勾当” “座頭” “紫分” “市名” “都”。ただそれぞれに段位があり、全て合わせると七十三階級。順番に修行を積んで上がっていっても生涯検校にはなれません。そこで実際には官金と呼ばれる金を納めることで官位を得ることになります。
“都”から”検校”の最上級までには七百十九両が必要だったといわれますので、お菊が身を売って作った百五十両ではまだまだ足りませんが”市名”となれば『XXの市』と名乗ることができ、収入も安定します。
文弥が鞠子宿まで来た時、文弥を狙った仁三という悪党が枕探しをするところを、江戸から来た伊丹屋重兵衛が取り押さえたことが縁となり、文弥は重兵衛に同行を頼みます。二人で宇都谷峠を越える途中、文弥は重兵衛に姉が身を売って作った百五十両の金を持って京に上る仔細をうち明けますと、重兵衛は自分の主人のためにその金を貸してくれと申し出ます。
文弥が断って一人で先を急ぎますと、追ってきた重兵衛が文弥を斬り殺して金を奪います。一年後、居酒屋を営む重兵衛のところに、昨年、文弥の枕探しをしているのを見つけた許してやった仁三が「文弥殺しを見た。文哉を殺して盗った百五十両の半分、七十五両を渡せ」と強請ります。
重兵衛は、伯父から借りると言って仁三を連れ出し仁三を殺します。店に戻ると、口入屋から紹介された老婆が待っており、身の上話を聞くと、これが文弥の母親とわかります。
一緒に聞いていた重兵衛の女房が、しばらく前から座頭の亡霊に悩まされていたが、仁三と重兵衛のやり取りも思い合わせ、これは文弥の亡霊と知って錯乱します。文弥の霊が乗り移って夫の悪事を口走り、ついに重兵衛は役人に取り押さえられて死罪となります。
三笑亭笑三 八王子車人形西川古柳座 さんま芝居
落語から始まり、芝居見物の部分から本当の芝居(人形浄瑠璃)に変わり、また落語に戻る趣向。こういうのも面白いですね。
コメント
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