松葉屋瀬川(雪の瀬川)~三遊亭圓生・柳家さん喬






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人情噺 傾城 瀬川の実意でございます

松葉屋瀬川~三遊亭圓生

本の虫の若旦那を浅草へ

古河で穀屋を営む大店 下総屋善兵衛の若旦那 善治郎。本の虫で毎日家にこもって本ばかり読んでいる。こもってばかりでは身体にも良くないと両親が心配して、江戸横山町の店へ住まわせますが、ここでも本ばかり読んで外へ出かけようともしません。

番頭の久兵衛が心配して若旦那を連れ出し、浅草を案内しようと出かけます。浅草見附から蔵前を通って黒船町、諏訪町。駒形堂を過ぎ、雷門から仲見世を通り浅草寺。行く所行く所の由縁を番頭にすべて詳しく案内する若旦那。これではどちらが案内しているのかわからない。

番頭が少々喉が渇いてきたので甘酒屋でお茶でもと誘いますが、善次郎は茶代が二朱と聞いてそれは勿体無い。さきほど”接待のお茶”という看板を見たので、ここで無料の茶を飲もうと言います。

久兵衛がここからは吉原も近い。仲之町は今桜の盛りと誘いますと、善治郎は、私がそういうところへ行こうと言ったら止めるのが番頭の役目ではないか。私を吉原へ連れて行って道楽者にして親から勘当させようという魂胆か、そういう者は置いておけないと説教。

久兵衛困って、実は国元から五十両、百両の金は用意するから遊ばせてやってくれと言われているのだと伝えますが善治郎は聞きません。善治郎が用足しをしたいと言って離れたところへ、馴染みの崋山という幇間が通りかかります。久兵衛は「金はいくらでも出すからなんとか若旦那を遊びに連れて行ってくれないか」と頼みます。

幇間 華山の計略

翌日、黒の羽織で店を訪ねた華山。本も良いが本ばかりでは目を悪くする。花を活けてそれを眺めれば目にもよろしいと善次郎に生け花を教えます。数日稽古をしたあと両国で花の会があると善次郎を誘って連れて行きます。久兵衛は吉原かと期待しますがその日はそのまま帰ってきます。

五日ばかり置いて訪ねて来た華山。「今日は吉原で花の会があるが、吉原だから同道してはいけない」と善次郎に言います。いけないと言われると行きたいもの。善次郎は華山に頼んで吉原に連れて行ってもらいます。

瀬川花魁との出逢い

善次郎と華山が吉原揚屋町の宇治吾朝という幇間の家に入ったところへ、絶世の美女 瀬川花魁が花の稽古に入ってきます。奥の二人に目礼をして花を活け、終わりますと善治郎に会釈してにこっと笑って出ていく様子にもなんとも言えない愛嬌がある。

善次郎食い入るように見送り「たいそう綺麗な人」と聞きますと、華山は「松葉の瀬川花魁で歳は十八。瀬川というのはよほどすぐれた者でないと継げない名跡で、特に当代は器量も人物も秀でている。」と教えます。

そこへ瀬川からの使いが来て、奥の人に失礼したと竹村の三重の折りを差し入れてきます。「お返しをしなくてはなりません」と華山。「いくらくらいが良いか?」と聞きますと「五両は出さなくてはいけない、遊ぶとすれば六両」と言いますと「遊ばなくて五両、遊んで六両ならこちらのほうが算盤に合う」と善治郎、茶屋であっさり騒いだあと松葉へ向かいます。

翌朝、華山が善次郎の部屋へ迎えに行きますと、寝起きでも美しく品格のある瀬川が応対に出て、若旦那はまだ眠いとおっしゃっていると言います。華山が「帰りましょう」と言いますが、善次郎は「今日は帰らない」と言う。「お前が花の先生ではなく幇間だというのを私は知っている。お前は悪幇間だ」と言いますが、この日はなだめて一緒に帰ります。

善次郎の勘当 瀬川への手紙

善次郎、それ以来夢中になって通いはじめ、半年で八百両を使ってしまい、意見をしても聞きませんのでついに勘当されてしまいます。親類縁者も善治郎を寄せつけませんので、いっそ死のうかと永代橋でぼんやりしていますと、前に店にいた忠蔵という者が通りかかり、麻布谷町で紙くず屋をやっていると言い、そこで居候する事になります。

忠蔵は大家にも話をしておかなければと出かけますと、大家は快く承知をして事情を聞き、それは通人だ、食べ物には気をつけておやりと膳や茶碗を貸し、料理の方法なども教えます。

夫婦が心を尽くして世話をして一ヶ月。善治郎が感謝して「手紙を書くから持って行っていくらか小遣いをもらってきてくれ」と言うのを忠蔵は遮り、「母親に手紙で無心をしては私の世帯が苦しいから書かせたものと疑われると困ります」と断りますと「母親ではない、瀬川のところへ持って行って欲しい」と頼みます。

忠蔵は「お金で動くのが花魁だから無理だ」と言いますが、無理でもと頼むので幇間の吾朝のところへ向かいます。生憎吾朝は留守とのことでしたが、女房が応対に出て若旦那の無事を喜んで忠蔵を中へ入れます。町の噂では食うに困っておもらいをしているとか身を投げて死んだと聞き、花魁もそれを知って「自分が殺したようなもの。今は勤めの身で無茶はできないが年が明けたらお墓の前で自害をする」と、物も食べずに臥せっているという。

吾朝が早速使いを出し、帰ってきますと、花魁は「若旦那は生きていたか」と手紙を押しいただいて泣き、震える手で手紙も書けず、手紙は後で届けるからと五両を渡します。

瀬川の手紙 雨待ちの善次郎

中一日。吾朝が訪ねてきて善治郎に瀬川の手紙と二十両、忠蔵の女房に若旦那が世話になっているからと五両を預かったと渡します。手紙には「雨の降る日に逢いに行く」と書いてあります。吾朝は「それは郭抜けになる。見つかれば年期が増えてなお貴方とは会えなくなる」と言いますが善次郎の耳には入らない。

それから善次郎は天気の事ばかり気にしますが十二三日天気が続きます。ようやく朝から雨が降ってきた日、夜を待ちかねる善次郎は忠蔵に何度も時間を尋ねます。夜になり、待ちくたびれて寝てしまった善次郎と忠蔵。表を叩く音に目覚めた忠蔵が戸を開けてみますと、家の前に駕籠から黒縮緬の頭巾を目深に被り合羽に大小を差した武家と見える者が降りてきます。

物も言わずに中へ入り、大小を鞘ぐるみ抜き、合羽を取ると燃え立つような緋縮緬の長襦袢、頭巾を取ると洗い髪に珠のかんざしに髪を巻き付けて立つまばゆいばかりの瀬川。善治郎が音を聞きつけて目が覚め、下を見ると瀬川が立っている。階段を踏み外して腰を打ち「あぁ痛い」瀬川が「逢いたいのは主ばかりではありんせん。私も逢いとうござんす」

翌日、店へ行きますと父親が大病。詫びを入れて許され、瀬川を身請けして二人は夫婦と相成ります。
傾城 瀬川の実意でございました。

覚書

全編を『松葉屋瀬川』。後半部分だけを抜き出したものを『雪の瀬川』と言います。

この『松葉屋瀬川』が落とし噺『橋場の雪(夢の瀬川)』になり、『隅田の夕立』と『夢の後家』に改作され、『夢の後家』が『夢の酒」にさらに改作されて今に残ります。

雪の瀬川(上下)~柳家さん喬

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