慶安太平記~立川談志・立川談春






お笑い・漫才芸人列伝お笑い・漫才芸人列伝
古今東西のお笑い・漫才芸人の貴重な映像・音声を集積。
明治・大正・昭和・平成・令和の数々の芸人を、映像と音声で紹介します。

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慶安太平記(1) 幕開き~立川談志

芝の増上寺の大広間に大勢の坊主が集められ、京都の本山知恩院へ往復十日で三百両を届ける者はいないかと聞かれます。無事に届ければそれ相応の礼が出るが、無くしたり胡麻の蠅(盗人)に取られたりすれば全額弁償か死んでもらうという。

「拙僧が参ろう」と名乗り出たのが、大黒堂別当の善陽の徒弟の善達という若僧。善達は「日に三十、四十里は走れる。胡麻の蠅など恐くもない」と、早速、旅支度を整えて三百両を肌着に縫い付け、翌朝六つに、護身用の南蛮鉄の如意棒を腰に、網代笠を被って増上寺を出ます。

赤羽橋で目つきの鋭い飛脚風の男に出会い、「坊さん一緒に行こうよ、京都まで行くんだろ。懐に三百両持ってんだろ、胡麻の蠅が出るよ」と言われます。

船が岸に着くや善達は一散に走り出し、箱根を越えて駿府の府中まで走りますが、飛脚はついてきている。さすがの善達も疲れ果て、やむなく二人はここで宿に入ります。飛脚は宿の女中に「今夜九つ(午前0時)を打ったら、”明け六つです”といって起こすように」と頼みます。

女中に「明け六つですよ」と起こされた二人は、握り飯を持って真っ暗な東海道を安倍川の河原に来た。もう夜が明けてもいいのに妙に暗い。善達はおかしいと言いますが、飛脚は「宿の女中が寝ぼけやがったな」とごまかし「すぐ上流に川中に杭が打ってある。そこを渡ろう」と言います。

東海道名代の宇津ノ谷峠。飛脚は「この先が”蔦の小路”という難所だ」と言い、小さな社の前に腰掛けて一服やり出した。善達も油断なく近くに腰かけ一休みをしていると、4人の男が上って来て飛脚をお頭(かしら)と呼び、「紀州三度の金飛脚が小判三千両を持って通る。小笠原某というのが腕が立つというから気をつけて下さい」と言います。

飛脚はあとは自分が引き受けると言って、子分たちを下がらせます。飛脚は善達に「徳川家に恨みがあるから紀州三度の金飛脚を襲って三千両いただく。お前の懐の三百両を奪ろうという腹ではない。荒事のあと、道中は足止めされて一人では歩けないだろうから、京都の嵐山まで一緒に連れて行ってくれ」という。

善達は「半分寄こせ」と言い、断られると「同行は断る」と尻をまくります。飛脚は「自分は実は信州上田左衛門尉幸村の家来、駒木根流火術の指南役、高坂陣内だ。金飛脚より先にお前を叩っ斬るぞ」と脅しますが、善達も「元和三年 大坂落城の砌り 岩見重太郎改め薄田隼人正の忘れ形見の関若丸だ。お前から先に捻ってやる」と言い、二人が刀を合わせた時、紀州三度の金飛脚が登って来ます。

慶安太平記(2) 吉田の焼き討ち~立川談志

宇津ノ谷峠で紀州三度の金飛脚の小笠原武右衛門を叩き斬って、徳川家への奉納金三千両を奪い取った飛脚の十兵衛と、十兵衛を京都の嵐山まで連れて行くことの礼に三百両もらう約束を取り付けた善達。三千両を山中の岩穴に隠し、峠を下って吉田城下の江戸屋という旅籠へ入ります。

宿帳を持ってきた番頭は、宇津ノ谷峠での一件を知っており「旅人は明日の取り調べまで城下、宿屋から一歩も出すなとのきついお触れを出した」という。さすが知恵伊豆と驚いた十兵衛ですが番頭と「吉田橋のそばまで頼まれた手紙を届けに行く」「ダメだ」「行かせろ」と押し問答をしていると宿の主人が、十兵衛に宿の奉公人の半纏を着せ、用事が終わったらすぐに宿に戻るようにと念押しして外へ出します。

番頭は主人に「明日、役人が来て泊り客と人数が合わないと、旦那は厳しい詮議を受けて拷問にかけられる。石を抱かされ、水責め、火責め、最後には胴の真ん中を縛られて宙づりにする瓢箪責めで、旦那は一巻の終わりとなる。おかみさんも宿も自分が引受けるからご安心を」などと勝手なことを言っている。

十兵衛は戻ると善達に「火薬をしかけてきた。火事になるからその間に二人で逃げ出そう」と話します。あちこちで爆発とともに火事が起こり、番頭が「お逃げください」と言った頃には二人は逃げたあと。

馬上で火事を睨んでいた知恵伊豆 松平伊豆守は、逃げ惑う群衆の中に旅装で走る飛脚と坊主をみつけ、さてはあの二人が火付けの下手人か「あの二人の後を追え!」と言い渡します。二人は春見山の頂上まで来て、ここまでくれば大丈夫と一息ついているところへ、「ご両所、お待ち願いたい」と現れたのが油井正雪。

「慶安太平記」中頃にかかって参ります。

慶安太平記(3) 箱根越え~立川談志

東海道三島の宿、甲州屋という一膳飯屋に入ってきた僧が飯と酒を頼みます。酒肴や飯、うどんと次々と平らげると、懐から三百両とまだ余分に十二三両を出して十分な支払いをします。これを見ていた商人風の三人連れの一人が、箱根山にかかったところで同行したいと声をかけます。

「断る、お前達は護摩の灰だろう」と言うと果たしてその通り。切りかかってくる三人を軽く返り討ちにした僧は、とどめを刺して三人の懐から金を取り、引導を渡して立ち去ります。これを見ていたのが由比正雪。伴の二人とともに追いかけます。

これから先がおもしろいんだが、また明日(みょうにち)。

慶安太平記 立川談志

覚書

談志が「最後の本物の浪曲師」と心酔していた浪曲の木村松太郎に頼み、直伝で教えてもらって落語に移した噺です。
もう一遍、「皿回し(秦式部)」を加えた4部作としていましたが、録音は残っていないようです。

歌舞伎では『樟紀流花見幕張』(くすのきりゅう はなみの まくはり)。通称「慶安太平記」「丸橋忠弥」(まるばし ちゅうや)と言われる世話物です。

講談の慶安太平記は全19編あります。
2019年の初席で神田松之丞が5日間通しで口演、チケットは即日完売となりました。

1.「正雪の生い立ち」
2.「楠木不伝闇討ち」
3.「丸橋忠弥登場」
4.「忠弥・正雪の立ち合い」
5.「秦式部」
6.「戸村丹三郎」
7.「宇都谷峠」
8.「箱根の惨劇」
9.「佐原重兵衛」
10.「牧野兵庫(上)」
11.「牧野兵庫(下)」
12.「柴田三郎兵衛」
13.「加藤市右衛門」
14.「鉄誠道人」
15.「旗揚げ前夜」
16.「丸橋と伊豆守」
17.「奥村八郎右衛門の裏切り」
18.「正雪の最期」
19.「一味の最期」

落語 慶安太平記 ディスコグラフィ

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立川談志
幕開き・吉田の焼き討ち・箱根越え
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立川談志
CD

立川談志
善達の旅立ち・吉田の焼き打ち
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立川談志
善達箱根山・皿廻し
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