七の字(按七)~三遊亭金馬






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按七~三遊亭金馬

今は義務教育で字を書けないという人はいませんが、昭和の戦前頃までは職人さんは腕さえ良ければと言って、字を知らなくてもいいという時代がありました。変に読み書きが出来ると「あいつは字を書くのか、道理でひねくれてやがる」「あいつは算盤ができる、計算高い奴だ」などと悪く言われたものです。

長屋で「グズ七」と呼ばれていた七兵衛は、仲間に助けられながら生活をしていましたが、たった一人の伯父さんが亡くなって遺産を相続し、今では肩で風切って生活しています。七兵衛が近くを歩いているのを見かけた長屋の連中が「グズ」「グズ七」と呼びかけても返事をしない。

ようやく呼び止めて「一つ長屋で一緒に冷や飯を食った仲だ、その節はお世話様くらいのことを言えば、おめでとうくらいのことは言うのに肩で風きってこんな路地は知りませんというツラをするってのはどういうことだ」と言いますが、いっこうにこたえる様子がない。

一人が、腰に下げた矢立てを見て「いろはのいの字はどっちから書くんでしょうなんて言ってたくせに、それならお前の名前の「七」の字を書いてみろ」と詰め寄ります。「書いてやるから金を出せ」「なら100円出そう」と話が決まりますが、さて七兵衛は字が書けない。相手が100円を用意するから30分したらここへ戻ってこいと言われたのを幸いに、近所の学校の先生のところへ駆け込みます。

覚書

他の無筆の噺と同様、この噺も時勢に合わず消えていく噺でしょう。ただ、時代の背景や当時の寄席の客の気分も同調しているのが感じられます。

サゲは考えオチで、野暮を承知で加えますと、マクラの「あいつは字を書くのか、道理でひねくれてやがる」というセリフの通り、右に曲げればいいのにひねくれて左に曲げてしまうんですね。

原話とされている文化7年頃の『落とし噺常々草』の一遍「無筆」では、『大』の字を書けるかと言われた男が、『七』や『八』を書いて「大の字も知らぬ。文字を知らぬ物は畜生だ」と言われ、「畜生だと言われれば口惜しい それなら書こう」と今度は『大』の字を書き、脇へ点を打って「さぁさぁ、これでも畜生か」と。

こちらのほうがスマートですね。

落語 按七 ディスコグラフィ

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三遊亭金馬
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