法華坊主~桂米朝


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鶏の鳴き声が法華坊主と聞こえて

法華坊主~桂米朝

法華宗の坊さん。村の若後家へ法要に再々出入りをしているうちに、割りない仲になります。村の衆の目に付いてはいけないと世間が寝静まった頃に忍んでまいりまして、夜が明ける前に寺に帰る逢い引きが続いていました。

ある朝、東が白みだして一番鶏が”東天紅”(とうてんこう)と鳴き、二番鶏が”国家光”(こっかこう)と鳴くと、あちらこちらの鶏が共鳴きを始めます。坊さんが「今、法華坊主、法華坊主」という声が聞こえたと慌てて飛び起きます。

後家は「鶏が鳴いているのだ」と言いますが、坊さんは「お祖師様が鶏の声を借りて、わしを戒めなされたものに違いない。これは仏の戒めだ」と後家に別れを告げて寺に帰ってしまいます。

覚書

米朝しか演じなかった珍品中の珍品で、現在ではざこばの弟子の桂ひろばなどがたまに演じているようです。

サゲは、坊さんに去られた後家が、これから誰を頼りに生きていけばよいかと途方にくれ、「お前がしょうもない声を出すから」とそばにあった笊(いかき)を鶏に投げつけますと鶏が「後家っ怖わ怖わ」。

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