真景累ヶ淵~三遊亭圓生・林家正三・古今亭志ん朝【動画】



通し八時間 圓朝怪談の最高峰 真景累ヶ淵 三遊亭圓生

桂歌丸の真景累ヶ淵(お熊の懺悔含む)はこちらへ

殺された累(るい)という女の怨霊談を圓朝が落語としてまとめたもので、当時の流行言葉だった「神経」を「真景」と読み替えて「真景累ヶ淵」

皆川宗悦の怨念が、自分を殺した深見新左衛門の親族や家来、自分の娘まで巻き込む因縁噺。非道で救いようのない物語ですが単なる幽霊怨霊の話ではなく、人間の業の深さを極限まで表した三遊亭圓朝の名作です。もうこういう話は出てこないだろうと思います。

大変に長い物語でここで掲載した圓生の噺をすべて聞くと8時間に及びます。寄席では細切れに半月、ひと月の連続物として演じられました。

ぜひじっくりと聴いてみてください。

真景累ヶ淵 1/8「宗悦殺し」 三遊亭圓生


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一 宗悦殺し

根津七軒町に皆川宗悦という按摩がおり、女房はなくなりましたが十九と十六になるお志賀、お園という二人の娘の成長と、療治で少しずつ貯めた金を高利貸で金が増えていくのを楽しみにしています。

ある寒い夜のこと、宗悦は娘の志賀が雪になりそうだからと止めるのも聞かず、小石川小日向服部坂に住む旗本 深見新左衛門の家に借金の取りたてに向かいます。

深見新左衛門は二百五十石の禄がありましたが人望がなくお役もつかずに苦しい世帯。酒乱の気があり朝からずっと酒を飲んでいるところへ宗悦がやって参ります。

お貸ししたお金をお返しいただきたい、金はないと話すうちに言い合いとなり、新左衛門は宗悦の無礼に激昂し、峰打ちにしたつもりが斬り殺してしまいます。

新左衛門は下男の三吉にツヅラを買い求めさせ、油紙に宗悦の死体をくるんで中へ入れてこれを背負ってどこかへ捨ててこい、口外は無論、屋敷に戻ってはならぬと言って五両を渡します。

捨てられたツヅラを見つけた上方者が自分のところから盗まれたものだと言って長屋の自分の家へ運び込む。これを隣の駕籠かき二人が盗み出して中を確かめると死体。

身元が皆川宗悦とわかり、お志賀の話で新左衛門のところへも問い合わせますが、借りた金を返してご馳走をして返してその後は知らないと言います。
駕籠かきは行方知れず、上方者は所払いとなって事件は片付きましたが、深見新左衛門の妻は、主人が宗悦を殺した事を気に病んで寝たり起きたりの生活となります。

新左衛門は黒坂一斎という剣術指南所に出していた惣領息子 新五郎を呼び寄せて母親の看病をさせ、台所のことは深川からお熊という女を頼みます。やがて新左衛門とお熊は深い仲になって懐妊します。

あわよくば正妻になれると考えたお熊は、新五郎や奥方のことを悪く言い、新左衛門はこれを間に受けて新五郎を叱責したりするので、新五郎はこのような親では出世はできないと家出をし、奥方の病気もだんだんに悪くなります。

新左衛門は、鍼でも打てば奥方の病状も少しは良くなるかと、流しの按摩を呼んで鍼を打たせますといくぶん良くなりますので、毎日続けて治療をするようになりますが、最後にみぞおちに打った鍼が悪く、後からじくじくと水が出て来るようになります。

それきりその按摩は姿を見せず、十二月になって按摩の笛を聞いて呼び込みますと鍼を打った者ではなく別人。新左衛門が肩を揉ませていると按摩が宗悦の幽霊に変わります。

刀を抜いて斬り殺したと思えばこれが奥方。後先のわからなくなった新左衛門は隣家にも切り込み、逆に殺され乱心のかどで家はお取り潰しとなります。

真景累ヶ淵 2/8「深見新五郎」 三遊亭圓生


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二 深見新五郎

家出をした新五郎、田舎で暮らしておりましたが江戸が恋しくなり、久しぶりに屋敷に帰りったところ家は空き家となって荒れ果てています。

菩提寺で家が取り潰しとなった経緯を聞いた新五郎、絶望して墓前で切腹をしようとしたところ、通りかかった質屋下総屋の主人に諭され、新五郎は下総屋で働き始めます。

下総屋の女中 お園は器量も気立ても良く、新五郎はお園に想いを寄せて何かとお園に親切にします。

このお園、実は宗悦の次女で、新五郎が父親を殺した深見新左衛門の息子とは知る由もありませんが、なぜか新五郎の顔を見るだけもぞっとして寄せ付けません。

ある日お園が病気になり、新五郎はよく看病をし、下総屋の主人は若い男女のことと心配をして「女の部屋に男が入るというのはまずい、良く気をつけるように」と新五郎に言いつけますが、新五郎はお園の看病を続けます。

新五郎の看病の甲斐あっていくらか良くなったお園が針仕事をしておりますと、得意先でご馳走になり少し酔った新五郎が部屋に入ってきます。

夜も遅いので早くご自分の部屋へというお園に、一服させてくれと行灯の火で煙管をつけて何やかやと話をし、お園に惚れている、一生の願いだからお前の床の中へちょっとでいいから寝かせてくれないかと言い寄ります。

断りきれずに一緒に床に入りますがお園は外を向いて体を固くして新五郎を見向きもしません。新五郎はこのままではもう生きていられないと言いますがお園はさらに体を固くしてびくともせず、新五郎は諦めて自分の部屋へ戻ります。

幾日か過ぎた日、蔵の塗り替えがあり職人が夕食をしている。漬物が無くなったというのでお園が物置に取りに行きますと、後から新五郎が追いかけてきて「お前のことが思いきれない、一度でいいから」と嫌がるお園を藁の上に押し倒します。

しかしこの藁の中には押し切り(藁切包丁)があり、その上から新五郎が押さえつけましたので、お園は脇腹からあばらへかけての傷で絶命。もう仕方がない、毒くわば皿までと店の金百両を盗み、今は仙台藩お抱えとなった剣術師範 黒坂一斎を頼って仙台へ逃げてしまいます。

一年後。黒坂一斎が亡くなり、仙台に知人のない新五郎は江戸へ戻ります。以前深見家に奉公していた勇二を頼って本所松倉町へ行きますが、勇二の娘 はるが応対に出て、勇二もすでに亡くなったと言います。

はるは新五郎をもてなして、今日はお泊りをと勧めます。しかし、はるは新五郎がお園を殺して金を取って逃げたことを知っており、夫で同心の森田金太郎へと知らせます。

新五郎、踏み込んできた森田金太郎の額を斬って逃げますが周りは捕り方に囲まれている。二階へ上り物干し伝いに逃げ回り藁束に飛び降りますが、そこには押し切り。そこへ飛び降りましたから土踏まずを深く切り込んで動けず、新五郎は捕り押さえられます。
これが十一月二十日。お園が死んで三年目の祥月命日でありました。

真景累ヶ淵 3/8「豊志賀の死」三遊亭圓生


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真景累ヶ淵 3/8「豊志賀の死」林家正蔵


お園が死んで十七年の歳月が経ち、お園の姉のお志賀も三十九歳、根津七軒町で富本の師匠、富本豊志賀となっています。

真景累ヶ淵 3/8「豊志賀の死」古今亭志ん朝

豊志賀は声も良く節回しも上手く、男嫌いで通っていたのでこの人なら安心だと方々の娘が稽古に通い、男も我こそはという思いでここへ通います。

ある時女中が病気になって親許へ返し、代わりが見つかるまでの間と、稽古場へ煙草の商いで出入りをしていた新吉を下働きとして家に入れることにします。

十一月二十日、強い雨風で新吉も志賀も寝付けず、二階の新吉を呼んで一緒の床へ入りなさいと言います。新吉は間違いがあってはならないと断りますが、親子ほど歳の離れたもの何の間違いがあるものかと言われて一緒の床に入ります。

固いと言われた豊志賀も女。新吉と良い仲になり、食事の支度も豊志賀がするようになり、新吉も亭主気取りになっていきます。

豊志賀目当ての男も娘達も多く去ってしまいますが、根津惣門前の小間物屋 羽生屋の娘 お久だけは熱心に通いつづけます。

お久が稽古に来て新吉に笑いかけ、新吉もそれに答える様子を見ると豊志賀は気が気ではない。嫉妬のあまり稽古のたびにお久に辛く当たるようになりますが厳しい稽古で上達するかとお久は熱心に通います。

そのうち豊志賀の右目の下に粟粒ほどの小さな出来物ができ、爪で引っ掻いたところだんだんと大きくなって額から顔の半面が紫色になってじくじくと膿んでくるようになります。

新吉は豊志賀をよく看病しますが、こんな顔になってはもう死にたい、私が死ねば「お久と一緒になれて良いだろう」と新吉をなじり、見舞いに来たお久にも「見舞いではなく新吉に会いに来たのだろう」と言います。

豊志賀が寝付いたなと思って食事の用意をすると床から這い出して来る、寝ていると馬乗りになって恨み言を言う。寝ることも食べることもままならない。

さすがに嫌気の差した新吉が、自分の叔父 勘蔵に相談に出かけるとばったりお久に出会い、先日のお詫びにと寿司屋に誘います。

新吉は豊志賀に嫌気がさしたので叔父に相談して下総へでも行こうかと思っていると言いますと、お久も継母のいじめに耐えきれず下総の羽生で質屋を営む叔父 三蔵のところへ逃げるつもりだという。

新吉が豊志賀を捨てる気になり「一緒に下総まで行こう」と言ったとたん、お久が「あなたは不実な方ですわね」と新吉の胸倉をつかむ。

見るとお久の右の目の下に粟粒のようなものができたかと思うとみるみるうちに顔の半面が腫れ上がって豊志賀の顔に。

驚いた新吉が寿司屋を飛び出して叔父のところまで行きますと、叔父は豊志賀が来ていると言います。

新吉は、あの体でここまで来るわけはないと言いますが、勘蔵は奥の座敷にいる、勘蔵に、自分はもう長い命ではないから死ぬまでは新吉に面倒を見てもらいたい、死んだあとは好きな者と一緒になってもよいからと頼んだと言います。

勘蔵が駕籠を手配して豊志賀を乗せたところへ長屋の人たちが来て、豊志賀が死んだと知らせにきます。

そんなことはないと駕籠を見ますと中は布団ばかり。駕籠屋には帰ってもらい、叔父とともに家に急ぎますと、豊志賀は剃刀で喉を掻き切って息が絶えています。

蒲団の下には「これから新吉が持つ女房は七人まではとり殺してやる」という書き置きが残されていました。

真景累ヶ淵 4/8「お久殺し」 三遊亭圓生


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四 お久殺し

新吉は置き手紙を誰に見せるわけにもいかず、豊志賀の棺の中に入れて葬ります。

七日七日のお参りをして二十一日。
新吉が墓参りに行くとお久も来ていて、寿司屋で私を急に突き飛ばしてお帰りになったが、あれから師匠が亡くなり、継母が新吉と何かがあったのだろうと余計につらく当たるようになった。

この間のお話が本当ならば、すぐにでも下総へ連れて行ってもらいたいと言い、新吉とお久は手に手を取って羽生村へと向かいます。

江戸を出て二日目の八月二十七日。羽生村近くの累ヶ淵まで来た所で雷雨になります。

この累ヶ淵は、累(かさね)という女が鎌で殺され、累の亡霊が出て祟りをなすというので祐天上人が鉦を叩いて供養をしたというところ。

暗い空と雷雨に、お久が「怖くてしょうがない、もう歩けない」と言いますが、羽生村まではもうわずかだと励ましながら歩きます。と、お久が草に足をすべらせ、踏みこたえようとしたところへ何かにつまづいて転びます。

「痛い!」と言うので見てみると、田を刈った目印にと突き立ててあった鎌の柄を踏み、刃が返ったらしくお久の膝はざっくりと切れています。

手当をしてなんとか歩いて行こうと促す新吉に「きっと新吉さんは私を見捨てるんだろう。第一私はこんな顔になってしまった」と言うお久。その顔を見てみると、顔の半面が腫れ上がりまさに豊志賀の顔。

新吉はそこにあった鎌を取り上げ、夢中になって振り回し、新吉が出した鎌に逃げるお久の首がひっかかったところをぐっと引いて喉笛が掻き切れます。

死んだお久を見るとそれはもとのお久の顔。これも豊志賀の祟りかと恐ろしくなった新吉。鎌を放り出し逃げようとしたところへ頬かぶりをした男に襟髪を掴まれます。

この男「土手の甚蔵」と呼ばれる悪人。もみ合いながら雷にひるむ甚蔵の隙をついて何とか逃げた新吉。村外れの小屋に飛び込んで一夜の宿を頼んたところ、中にいた男は自分の家ではなく雨宿りに入ったからと断ります。そこへ戻ってきたのが小屋の主の甚蔵。

甚蔵は男に博打に手入れが入って隠れていたたところで人殺しを見たと話します。

男が帰ったあと、甚蔵は新吉に商売でもするならずっとここにいてもかまわないと言い、新吉も行く宛がなくなったと話して兄弟分となって一緒に暮らす約束をします。

甚蔵は兄弟分になったんだから善悪すべて正直に話せ、女を殺したのはお前だなと迫り、新吉はすべての経緯を話します。

真景累ヶ淵 5/8「お累の婚礼」三遊亭圓生


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五 お累の婚礼

女を殺して金を奪ったおこぼれに預かれるかと思って新吉を兄弟分にした甚蔵、あてが外れましたが、帰れと言うわけにもいかず新吉を住まわせます。
自分はあちこちの博打場へ行って家には帰りませんので、新吉はほぼ一人暮らし。

近くで村人が話しているのを聞きますと、お久の死体が見つかり質屋 三蔵の姪とわかって三蔵が弔いを出して今日が初七日。

宝蔵寺に葬られたと聞いて新吉が墓参りに行きますと、二十歳頃と見える娘とその女中を見つけます。

女中が「お嬢様、ここがお久の墓だ」と念仏を唱えるところへ新吉が近寄り、気の毒な死に方をした方をお参りしてシキミを三枚もらうと無尽に当たるからと言ってお参りをします。

娘に身寄りかと聞きますと、三蔵の妹でお久の叔母にあたり、名前をお累。江戸の屋敷に奉公していて昨日帰ったばかりだといいます。

その時、お累が足元へ蛇が来たのを怖がって新吉の手につかまり、蛇が去ってもその手を離さず、それからお累は新吉に想いを寄せるようになります。

さて、お久の叔父 三蔵は、宗悦の死骸をツヅラを入れて捨てに行き、新左衛門に五両をもらって屋敷を離れた三吉の惣領息子。

三吉は生まれ故郷の羽生村へ帰り、兄の三右衛門のところで百姓のかたわら五両の金を元手に質屋を始めました。

長男の三蔵を谷中の下総屋という質屋へ奉公に出し、これはお園が新五郎に殺された店でありますが、三蔵は真面目に働いて番頭まで勤め上げます。三蔵がたまたま知り合いの頼みで富札を買ったところが千両当たり、父親の三吉も年寄りになったからと羽生村へ帰って質屋の普請をやりかえて後を継ぎました。

次男が江戸で小間物店を出した三五郎でお久の父親。
かなり歳が離れた妹のお塁も行儀見習で江戸へ奉公へ出していました。

ある日、甚蔵が三蔵の元へ鎌を十両で質に置きたいと持ってきます。
これはお久が殺された鎌。これに三蔵の家の焼印が入っていると言って強請ります。甚蔵はもとより身に覚えはありませんがマムシと言われた甚蔵のこと。後が面倒と思い、十両の金を渡して帰らせます。

その夜、お累の寝所に蛇が出て、驚いたお累は夢中で逃げ、囲炉裏につまづいて転び、自在鉤に掛かっていた鉄瓶の熱湯をかぶって顔半面に火傷を負ってしまいます。

こんな顔になっては、もう新吉には会えないと食事もとらずに泣いてばかりの毎日。お累を心配した三蔵は女中から事情を聞き出し、新吉を婿として迎えることにして、甚蔵には兄弟分の縁切りとして三十両を渡します。

十一月三日に婚礼となりましてその夜。お床入りとなってもお塁は来ない。新吉が隣の部屋を見ると袖で半分顔を隠した累の姿。私はこんな顔になりまして、と泣くお累の顔を見てみると顔半面の火傷。やはり豊志賀の怨みがつきまとっているものかと思案しているところに縁側でカサカサと物音がします。

見るとそこにはお久を殺した時の鎌が研ぎ直して刺してあり、どこから出たのか長さ三尺あろうかという蛇がこの鎌にまとわりついて二つに切れ、頭のほうがお塁へ向けて向かってきます。

新吉が蛇の頭を煙管で叩くと蛇の姿は消え、お累は新吉にすがりついたまま夜が更けていきます。

真景累ヶ淵 6/8「勘蔵の死」 三遊亭圓生


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六 勘蔵の死

新吉は、自分が因縁を背負ってきたのでお累がこんな目になったと、お塁をいたわり仲睦まじく暮らし、母親にも三蔵にも良く仕えます。

お塁が妊娠し臨月となったある日、新吉の元へ江戸から叔父の勘蔵が危篤だという手紙が届きます。

三蔵に訳を話して新吉は江戸へ。勘蔵は久しぶりに戻った新吉に形見だと言って古い迷子札を渡します。

迷子札には『小石川小日向服部坂 深見新左衛門次男 新吉』とあり、勘蔵は新吉に、あなたは深見家の若様だ。宗悦を殺し、宗悦の亡霊に迷って奥方を殺して隣家で殺された深見新左衛門の次男、私は門番をしていた勘蔵でございます。家来であった私、新吉様には数々無礼をいたしましたと詫びます。
新吉は、家来などとは思わない、今まで育ててくれた勘蔵に感謝している。もう一度元気になってくれと言いますが、二日後、勘蔵はこの世を去ります。

勘蔵の葬儀を行い、まだ初七日も済みませんがお塁も臨月で今にも子が生まれるやもしれず、新吉は羽生村に帰ることにします。

その途中、雨に降られ駕籠を頼んで亀有で一泊をしようと走り出しますが、新吉はなんとも言えない眠気がさして駕籠の中で眠り込んでしいまいます。気が付くと駕籠かきの様子がおかしい。

ここはどこだと聞くと真っ暗でよくわからない、小塚原のあたりと言うので千住の本宿で泊まることにしてそちらへ向かいますが、また駕籠が止まってまた小塚原だと言う。
仕方がないと駕籠賃を渡して歩き始めますと声を掛ける者がある。

これを落としたのはお前さんだろう。と囚人服と見える浅葱のお仕着せ着た男が迷子札を差し出します。

札の文字を見た男が、俺はお前の兄の新五郎だ。若気の至りで女を殺したうえ牢破りをして二年逃げている。

お前の義兄三蔵は江戸の質屋に奉公していた頃に俺を訴えた男。その三蔵をかばうとは許せぬと匕首を抜いて新吉を追いかけ、ぬかるみに足をとられたところへ新五郎が上に覆いかぶさる。

苦しんでいる新吉に「旦那、どうしたんです?」と声をかけられ、目が覚めると駕籠の中。

小用がしたくなったと駕籠から降りた新吉。そこは千住の小塚原の仕置き場で傍らの捨て札を見ると『当地無宿 新五郎』の文字。今夢に見た通り、下総屋のお園を殺し百両を奪ったかどにより獄門と書いてあります。

今のは正夢だったとぞっとしましたがこの日は千住に泊まり、翌日新吉は羽生村に帰ります。

新吉の帰りを待っていたかのように男の子が産まれましたが、顔が夢に見た新五郎にそっくり。

恐ろしいことだと新吉は家にも落ち着いておられず、三蔵は気を効かせて新しく家を建ててやり、新吉一家はここへ引っ越しをしますが気は塞いだまま。神仏に頼ろうといろんなところへお参りをします。

宝蔵寺の住職に死霊の祟りがある、無縁仏の供養をすれば祟りが取れると言われ、それから無縁仏の供養に励んでいると、江戸にいた頃の知り合い、今は名主惣右衛門の妾となっている元深川芸者のお賎と再会します。

真景累ヶ淵 7/8「お累の自害」 三遊亭圓生


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七 お累の自害

名主惣右衛門に挨拶をする新吉。惣右衛門に、お賎は江戸者で知り合いも無いのでちょくちょく遊びに来てやってくれと言われたのを良いことに、新吉はお賎と良い仲になって入り浸り、村の噂にもなってきます。

噂を聞いた三蔵がお累に意見をさせますが、新吉はかえってお累に辛く当たり、家にも寄り付かずに遊びにふけるようになります。

心配した三蔵がお塁の家を覗いてみるとお累は重病、家の中も新吉が物を持ち出して売り払ってひどいありさまになっています。

三蔵は新吉と縁を切り家に帰るようお塁に勧めますが、お累は新吉を思いきれないと納得せず、三蔵は兄妹の縁切りをして三十両の金を与えます。

縁を切ってもそこは兄妹。しばらく日を置いて三蔵がまた覗きに来ると、家の中は蚊がひどい。
家には蚊帳どころか衣服も新吉が売り払ってしまっているというので、三蔵が家人に命じて家から蚊帳を持ってこさせます。
家に灯りをつけてお累の姿を見ると見ると以前にも増して無残に痩せこけたお塁の姿。

三蔵は、新吉と別れて家に戻って来い、病気を治してまたどこかへ縁付けるか別荘を建てても良いと言いますがこれも承知せず、それなら本当に縁を切ると心を鬼にして言う三蔵の言葉に気を失ってしまいます。

なんとか蘇生させて蚊帳を吊り、三両の金を渡す三蔵。その手にすがって母に一目会って謝ってから死にたいと言うお塁をなぐさめて家に帰ります。

入れ替わりに家に戻った新吉が蚊帳に気づき、これを売り払おうとするのを止めようと今もらった三両を渡しますがそれでも承知せず蚊帳を取ろうとします。お累はこの蚊帳だけはどうか持っていかないでというのを殴りつけて蚊帳をはずしてかつぎます。

出ていこうとする新吉に、お塁がお前さんは非情な人だと言うのを聞いて新吉が立ち戻って薬缶の湯をかけたのが息子の与之助の顔にかかって死んでしまう、さらにお塁に薬缶をたたきつけて出ていきます。

蚊帳を売り払ってお賎の所で酒盛りをする新吉。お賎は寝てしまったが新吉は寝付けずにいると表を叩く音がします。

新吉に起こされたお賎が外に出てみますと、土砂降りの中、与之助を抱いたお累。子供が亡くなりましたので、今晩のうちに新吉に宝蔵寺へ行って欲しいと頼みます。

お賎は新吉に家に帰ってやるようにと言いますが、新吉はお累の胸ぐらを突いて転がす、また来るのをまた突いて戸を締めて追い返します。

それから小一時が経った頃。また表を叩く音。村の者が新吉に家に帰るように言い、新吉が家に帰ると片手に死んだ与之助をしっかりと抱き、鎌で喉を掻き切ったお累が凄まじい形相で死んでいます。

その鎌はまさしく新吉がお久を殺した鎌でありました。

真景累ヶ淵 8/8「聖天山」 三遊亭圓生


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八 聖天山

お累は前々から気がおかしかったと誤魔化して弔いを出した新吉。
三蔵との縁も切れて金もありませんので家も売り払い、惣右衛門の留守にお賎の所へしけ込みます。

横曽根村あたりまで新吉の噂は広まり、すっかり鼻つまみ者になった新吉。
惣右衛門が病になり、それでも本宅よりもお賎のところがよいとこちらで看病を受けています。

お賎は看病は大変だと言いながらよいこともある、遺言に新吉のことまで書かせたと言い、お賎は自分を捨てない証拠に、今夜惣右衛門を殺してくれと新吉に迫ります。

新吉は親切にしてくれる旦那を殺せないと言いますが、実があるなら殺せと促され、新吉は惣右衛門の首を絞めて殺し、お賎は新吉を帰して本家に急を知らせます。

惣右衛門の息子惣次郎が遺言状を見てみると、惣次郎が跡を継ぐこと、形見はこうこうとしたあとに、お賎には五十両の金を渡して江戸へ帰すよう、湯灌は新吉一人に任せること書いてあります。

新吉が惣右衛門の湯灌をしていると、土手の甚蔵が入ってきて手伝い、惣右衛門の首に付いた跡を見つけます。

詰問する甚蔵に新吉が自分が殺したと白状し、その場はそのまま葬式を出します。

初七日が過ぎ、博打で負けた甚蔵がお賎の家に来て、小遣い三十両もらいたいと言い、お賎は断りますが、新吉がとりなしてその場は帰ってもらいます。

お賎に湯灌の時のことを伝えると、三十両渡しても後々また来る。聖天山に惣右衛門が埋めた金がある、百両の金をやるからと騙して殺してしまおうという計略を立てます。

新吉と甚蔵が早速聖天山に登って掘りますが出ない。甚蔵が喉が乾いたというので新吉は、山の中腹に湧き水があり、藤蔓を伝って降りればよいと教え、甚蔵はその通り降りていきます。また登ってくるところを藤蔓を斬って甚蔵を谷底に落とします。

新吉がお賎の所に帰り、新吉とお賎が寝ようとすると表で音がする。
殺したはずの甚蔵が血だらけで立っている。外へ出た新吉は甚蔵に胸ぐらをつかまれて殴られ、甚蔵が出刃包丁をふりあげたところへ銃声が響き、甚蔵の胸元に当って死んでしまいます。

さて銃を撃った者は何者であったか、真景累ヶ淵これをもって終わりといたします。

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