『お笑い・漫才芸人列伝』
古今東西のお笑い・漫才芸人の貴重な映像・音声を集積。
明治・大正・昭和・平成・令和の数々の芸人を、映像と音声で紹介します。
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恋煩いの若旦那のために崇徳院の句を手がかりに奔走する熊五郎
桂枝雀~崇徳院
十日ほど前から若旦那が患いついてしまい、医者に「薬の盛りようがない。これは気の病である」と言われた旦那はその”気がかり”を聞き出そうとしますが、熊さんにだったら話してもよいというので、さっそく呼びに行きます。
熊さんが聞き出したところ、若旦那は「恋煩いをしている」と言います。二十日ほど前に高津さん(江戸落語では上野の清水さま)にお参りに行きますと、茶屋で出会った水もたれるようなきれいな娘。お互いに見つめ合い、娘は若旦那の顔を見てにっこりと笑います。
娘が茶袱紗を忘れて去ろうとするのを若旦那、持って追いかけます。娘は茶屋に戻りますと料紙をもらって “瀬を早み岩にせかるる滝川の” と崇徳院の上の句を書いて若旦那に渡します。下の句は “われても末に逢はむとぞ思ふ” と、今日は別れてもいつかまた会いたいという思いをこめたもので、それ以来若旦那は何を見てもその娘の顔に見え、思いが募って床についてしまったとのこと。
熊さんが旦那に事情を話すと、礼は存分にする、大阪中、いや日本中を回ってもその娘を探してほしいと頼まれます。足を棒にして探しますが、見つかりません。黙って探しても駄目だと、唯一の手がかりの “崇徳院”の句を大きな声で言いながら町を歩きます。
覚書
この出逢いの場面は、歌舞伎の『新薄雪物語』の序幕を彷彿とさせると、四代目米團治は弟子の米朝に話していたといいます。
『新薄雪物語』序幕・花見
桜の中、清水の絵馬堂で、幸崎伊賀守の娘、薄雪姫が園部左衛門に向けた和歌を書いて桜の枝にくくりつけて去ります。後から現れた左衛門が”影の太刀”の奉納を済ませ、住職から「桜の枝をひとつ手折ってお土産に」と言われ、薄雪姫が和歌の短冊を結んだ枝を見つけます。
『崇徳院』の演出にも、高津の絵馬堂で男女が出逢い、風ではがれた短冊がひらひらと一枚落ち、これを拾った娘が若旦那に手渡して去る。または、袂から短冊を取り出して矢立(やたて 墨壺と筆の入った携帯用筆記具)で書くというものもあります。米朝は茶屋で料紙をもらって書くというふうに演じて米朝一門はそれを踏襲しています。
また、「瀬をはやみ~」と熊さんが言いながら町を歩く場面で、物売りや宣伝屋に間違われたり子供が熊さんの後をついてくる場面がありますが、昔の京・大阪では、物売りが「足引きの~山の芋~」「久方の飴~」など枕詞をつけて町を流していたという背景があり、百人一首が庶民の中に浸透し、熊さんの口上も、当時の人々にとってはさほど奇異なものには映ってはいなかったことが推察されます。
古今亭志ん朝~崇徳院
熊五郎のまっすぐな江戸っ子ぶりが爽快です。何度聞いても「三軒長屋・・三軒長屋!」のくだりは笑ってしまいます。
金原亭馬生~崇徳院【動画】
桂三木助 崇徳院
春風亭一之輔~崇徳院
立川談笑~崇徳院(ショート落語)
落語 崇徳院(Spotify)
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入船亭扇遊/崇徳院
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