佃祭~古今亭志ん朝・三遊亭金馬・古今亭志ん生・春風亭柳朝・柳家権太楼・三遊亭圓楽【動画】






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情けは人の為ならず 江戸人情噺

佃祭~古今亭志ん朝

神田お玉ヶ池の小間物問屋の主人次郎兵衛。今日は楽しみにしていた佃島・住吉神社の大祭が開かれますので朝からうきうきと支度をしています。悋気持ちの女房は「祭りが白粉をつけて待ってるんでしょ」などと嫌味を言いますが「祭りが好きなんだ」と船に乗って出かけます。

一日祭り見物をして仕舞船(最終便)に乗ろうと渡し場に着きましたが、どの船も満員。船頭に頼み込んでなんとか乗り込もうとしたところへ、女が次郎兵衛の袖をつかんで「ちょっとお待ち下さい」「私は急いでるんで他の人に」「お願いでございます」とやりとりしているうちに船は出てしまいます。

女は、「三年前に本所一ツ目の橋から身投げをするところを、三両のお金を恵んでいただいた者でございます、今はこの佃島で世帯を持ち幸せに暮らしております。主人にも会っていただきお礼を申し上げたい。主人は船頭をしているので船はいつでも出せますから」と家に誘います。

身投げを止めてもらった時の話をしているところへ外が騒がしくなり、聞いてみると仕舞船が転覆して一人も助かった者はいない。舟場は死骸の山とのこと。「よく引き止めてくれた。命の親だ」と次郎兵衛、女に感謝します。主人も帰ってきて礼を述べ、「今日はこの騒ぎだから舟場が落ち着くまで」と言われてここで厄介になります。

一方お玉ヶ池の店。仕舞船で帰ると言った次郎兵衛が帰らない、人をやって聞いてみると仕舞船が沈んで五百人死んだ、いや千人だ、いや佃島へ行った者は全員死んだという噂。次郎兵衛も死んだと大変な騒ぎに。

覚書

江戸古典落語、珠玉の人情噺です。志ん生は滑稽重視、金馬は人情重視の演出でどちらも人気の演目でした。志ん朝はこの二人の演出をさらに昇華させています。

佃の渡しは船松町(湊町)と佃島の鉄砲洲を結んだもので三代将軍家光の頃から昭和39年に佃大橋が開通するまで三百年以上に渡って続きました。明和六年(1769年)の三月に藤見物の客を満載した船が転覆して三十人以上が亡くなった事故をもとに作られた噺とされていますが、原典として中国の陶宗儀(とうそうぎ)の著書『輟耕録』(てっこうろく)(1366年)内 飛雲渡(ひうんど)があげられています。

下記に全文を示しますが、なるほど女を助けて自分が助けられるという筋書きは佃祭のようであり、易者に寿命が残り少ないと言われて功徳を施して寿命が伸びるというところは『ちきり伊勢屋』の筋にも似ています。最も『ちきり伊勢屋』の方はまた同書に『陰徳延寿』というのがあり、こちらが原典とされています。

飛雲渡(ひうんど)

 飛雲渡は浪や風がおだやかでなくて、ややもすれば渡船の転覆するところである。ここに一人の青年があって、いわゆる放縦不覊の生活を送っていたが、ある時その生年月日をもって易者に占ってもらうと、あなたの寿命は三十を越えないと教えられた。

 彼もさすがにそれを気に病んで、その後幾人の易者に見てもらったが、その占いはほとんど皆一様であったので、彼もしょせん短い命とあきらめて、妻を娶めとらず、商売をも努めず、家財をなげうって専ら義侠的の仕事に没頭していると、ある日のことである。彼がかの飛雲渡の渡し場付近を通りかかると、ひとりの若い女が泣きながらそこらをさまよっていて、やがて水に飛び込もうとしたのを見たので、彼はすぐに抱きとめた。「お前さんはなぜ命を粗末にするのだ」

「わたくしは或る家に女中奉公をしている者でございます」と、女は答えた。「主人の家うちに婚礼がありまして、親類から珠の耳環を借りました。この耳環は銀三十錠の値いのある品だそうでございます。今日それを返して来るように言い付けられまして、わたくしがその使いにまいる途中で、どこへか落してしまいましたので……。今さら主人の家へも帰られず、いっそ死のうと覚悟をきめました」

 青年はここへ来る途中で、それと同じような品を拾ったのであった。そこでだんだんに訊いてみると確かにそれに相違ないと判ったが、先刻から余ほどの時間が過ぎているので、その帰りの遅いのを怪しまれては悪いと思って、彼はその女を主人の家へ連れて行って、委細のわけを話して引き渡した。主人は謝礼をするといったが、彼は断わって帰った。

 それから一年ほどの後、彼は二十八人の道連れと一緒に再びこの渡し場へ来かかると、途中で一人の女に出逢った。女はかの耳環を落した奉公人で、その失策から主人の機嫌を損じて、とうとう暇を出されて、ある髪結床へ嫁にやられた。その店は渡し場のすぐ近所にあるので、女は先年のお礼を申し上げたいから、ともかくも自分の家へちょっと立ち寄ってくれと、無理にすすめて彼を連れて行った。夫もかねてその話を聞いているので、女房の命の親であると尊敬して、是非とも午飯ひるめしを食って行ってくれと頼むので、彼はよんどころなくそこに居残ることになって、他の一行は舟に乗り込んだ。

 残された彼は幸いであった。他の二十七人を乗せた舟がこの渡し場を出ると間もなく、俄かに波風があらくなったので、舟はたちまち顛覆して、一人も余さずに魚腹に葬られてしまった。

 青年は不思議に命を全まっとうしたばかりでなく、三十を越えても死なないで、無事に天寿を保った。この渡しは今でも温州の瑞安にある。

岡本綺堂 中国怪奇小説集13より

佃祭~三遊亭金馬

佃祭~古今亭志ん生

佃祭~柳家権太楼

佃祭~春風亭柳朝

佃祭~五代目三遊亭圓楽

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五街道雲助/佃祭

金原亭馬生/佃祭

三遊亭兼好/佃祭

柳家権太楼/佃祭

落語 佃祭 ディスコグラフィ

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