鍬潟(くわがた)~桂文枝






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身の丈八尺の雷電と四尺足らずの鍬潟の取組

鍬潟(くわがた)~桂文枝

丈が二尺足らずだがいたって相撲が好きな男。暇な時には近所の子どもをつかまえては相撲を取っています。女房に隣の甚兵衛さんが呼んでいたという言付けを聞いて甚兵衛の家へ。小さいことを馬鹿にされ、もう人間をやめようかと言う男に甚兵衛は「太閤秀吉は五尺足らず。七尺あった加藤清正は五尺に足りない太閤さんの家来だった。浅草観音はお身丈が一寸八分、何も卑下することはない」と言います。

「相撲取りでも小さいのはいるか」と聞きますと「昔、御前相撲で信州小諸の雷電為右衛門と大阪福島の鍬潟三吉に相撲をとらせたということがあった。」と甚兵衛。

雷電は身の丈八尺、鍬潟は四尺足らず。取り組みまでの五日間、鍬潟はエイの油を買ってきて体に塗っては天日に干していた。当日、最後の取組で呼び出しがかかり、十分に仕切って雷電が立ち上がろうとしたところ、鍬潟は「待った!」をかけること八十五回。

雷電の疲れを誘う計略で、雷電は百回でも待ってやると気を引き締めたが、不意をついた鍬潟が立ち上がり、後ろへ下がって土俵の二字口で「よいしょ」と大手を広げます。

小生意気な奴、捻り潰してやると雷電が肩口をつかむとエイの油でずるっとすべる。手を引っ張ってもすべる。まるで鰻と相撲をとっているよう。邪魔くさいと後褌(うしろみつ)を掴もうとする雷電をかわし、股ぐらをくぐって後ろへ回るなり足の折れ屈みを突きます。体は小さくても名代の怪力、雷電はそこへごろっとひっくり返ってしまいます。

雷電は、何故負けたか分からず、部屋へ帰ると手に油の臭いがする。「おのれ、こんなことをして俺に恥辱を与えたか」と鍬潟の部屋へ行ったが、鍬潟はもう大阪へ帰って居ない。

一年待って大阪へ乗り込んで来た雷電。鍬潟の福島の家へ行くと、家族で朝粥を食べている。「大勢の子供がいては話ができない、近所の子は家へ返せ」という雷電に、鍬潟は「これはすべて自分の子。九人の子供がいたが二人亡くして今は七人の子供がいる」と言います。

これを聞いた雷電、「相撲取りというものは嫁を思えば力が落ちる。子どもができたら相撲をやめるくらいのもの。それを九人の子どもを生んで、おまけに憂い目、悲しい目を見ても、エイの油を塗ってワシと一番相撲を取ってやろうという度胸に惚れた。兄弟分になろう」と言います。

鍬潟は雷電関が兄貴分だと言いますが、雷電は自分が負けたのだからと八尺の雷電が四尺に足りない鍬潟の弟分になったという。

男は「これは良い話を聞いた。自分も稽古したら大きくなるか」と、甚兵衛の親戚筋の旭山部屋に紹介状を書いてもらって稽古場へ向います。

覚書

東京では昭和初期くらいまで五代目、六代目の三遊亭圓生が持ちネタとして、上方では林家染丸、小染などが演っていました。

演者には難しく、さほど受ける噺でもないために寄席でかかることは滅多になく、落語研究会などでたまにかかる程度です。

落語 鍬潟(くわがた)ディスコグラフィ

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桂文枝
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