『お笑い・漫才芸人列伝』
古今東西のお笑い・漫才芸人の貴重な映像・音声を集積。
明治・大正・昭和・平成・令和の数々の芸人を、映像と音声で紹介します。
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世の中にこれぐらい気の毒な死骸はおまへんで
算段の平兵衛~桂米朝
ある村の庄屋。お花という妾を囲い、これが悋気持ちの妻に知られて別れさせらた上に村から追い出せと言われます。身寄り頼りの無いお花を村から出してしまうのもかわいそうに思い”算段の平兵衛”にお花を嫁がせます。庄屋はお花に手切れ金を渡していましたが、平兵衛はすぐ博打に使い果たし、着物や道具も質に入れてはそれも遊びに使って明日の米にも困るようになります。
平兵衛はお花に「美人局をやろう」とけしかけ、家に訪ねてきた庄屋を誘惑して、酔った庄屋がお花に迫った瞬間に平兵衛が出てきて金を強請る段取り。事は思惑通りにうまく運びますが、飛び出した平兵衛の殴りどころが悪かったらしく庄屋は死んでしまいます。
覚書
戦後に桂米朝が先輩や有識者から聞き集めて復刻した噺です。ストーリーだけを読むと全くひどい噺なのですが、庄屋の死体を踊らせる平兵衛の身振りと操られる庄屋の動きがなんとも言えず可笑しい。会場でもこのシーンに拍手が上がります。音声だけでもそれなりに伝わりますがやはりこの噺は映像で見ないとダメです。実際の高座を見ればさらに可笑しいのですがもう叶いません。
本来のサゲは、平兵衛を強請る按摩の徳を「盲(めくら)平兵衛に怖じずや」というもので「盲蛇に怖じず」をもじったものですが現代では差別用語とされている上につまらないので、演者はそれぞれにサゲを変えています。
この噺は嫌いだという人も多くいるようですけれども、「らくだ」の兄貴分や「黄金餅」の金兵衛の直接的な残酷さよりも、災難をなんとか穏便に納めようとする人間の機微が垣間見えることと、自分が庄屋の妻や隣町の連中の立場だったら、おそらく平兵衛に相談するだろうというような共感があり、演者の力量にもよりますが陰惨さをカラっとした語りで笑いに変えて、それぞれが不安がったり安心したりする表情も見ていて楽しい。ぜひ一度は高座で実際に見ていただくことをおすすめします。
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