特集 夏の落語

特集 夏の落語

涼しげな料理が並ぶ『青菜』や、逆に汗だくになって船を漕ぐ『船徳』、みかんが食べたくて病になってしまった若旦那のために炎天の中奔走する『千両みかん』など、暑さを笑いに変える名作が数多くあります。

また、夏は怪談噺も目白押し。昔、冷房のない寄席では客が集まらず、真打ちは巡業と称して避暑に。残った若手が少しでも涼しくなるようにと、いろんな仕掛けを作って怪談噺を演りました。

江戸落語では、圓朝作の『死神』『鰍沢』や『牡丹燈籠』『真景累ヶ淵』といった超大ネタ、一方上方では、『お菊の皿』『怪談市川堤』など大山鳴動して鼠も出ないというのが定番ですが、妖刀村正を題材にした『大丸屋騒動』などは幽霊噺ではないもののかなり怖い。

そして創作落語では、夏休みにおじいちゃんのところへ遊びに来た孫との楽しげな話が一転、涙あふれる展開になる柳家喬太郎の『孫帰る』と、壮絶な戦況を笑いに変える実体験談、春風亭柳昇の『与太郎戦記』をピックアップしました。

暑い夜、開け放した窓の月を眺めて自然を感じながら聴くもよし、冷房の効いた部屋で聴くもよし。古今東西の名演をゆっくりお楽しみください。

特集1 夏に聴きたい落語 人気ベスト5

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特集2 落語百選(夏)麻生芳伸著の聴き比べ


落語百選(春夏秋冬) 全4巻セット
麻生芳伸編 ちくま文庫から出版されている「落語百選」は、春夏秋冬の各季節ごとに25席ずつ選定された全4巻の書籍です。
書籍を傍らに、古今東西の名人の聴き比べをお楽しみください。



落語百選―夏 (ちくま文庫)に収録された25席の聴き比べです。ごゆっくりどうぞ。

<<演目>>
出来心(花色木綿) 道灌 狸賽 笠碁 金明竹 鹿政談 しわいや 百川 青菜 一眼国 素人鰻 二十四考 売り声 船徳 お化け長屋 たが屋 夏の医者 佃祭 あくび指南 水屋の富 紙入れ 千両みかん 麻のれん 三年目 唐茄子屋政談


演 目
概  要
聴き比べ
1.出来心(花色木綿) 何をやってもうまくできない、こうなれば泥棒にでもなってやろうと思った男、 兄貴分に泥棒の心得を教えてもらいます。 ある家に入っていろいろと物色してみますが何んにもない。 そこへ男が帰って来ます 古今亭志ん朝, 柳家小さん(五代目), 柳家小三治, 桂文我, 桂文朝
2.道灌 隠居の家に来た男が、太田道灌の「山吹の里」の絵に目を止めて、「椎茸の親方みたいに帽子をかぶって虎の皮の股引はいた男の前で、女がおじぎしてる・・」この絵は何の絵です?と聞きます。 三遊亭金馬, 古今亭志ん生, 柳家小さん(五代目), 橘ノ園都, 立川談志
3.狸賽 博打好きの男が寝ようとすると戸を叩く音。 戸を開けると狸が立っています。 今日は子供に捕まっているところを助けていただいてありがとうございました。 両親に話しましたところ、恩返しをして来いと言われ 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家小さん(五代目), 桂米朝
4.笠碁 碁がたきは憎さも憎し懐かしし。毎日のように碁を打っている二人、今日もあれこれと言い合いながら碁を打っています。 今日は待ったなしの一番だ。と始めますが 古今亭志ん生, 桂ざこば, 立川談志, 金原亭馬生
5.金明竹 叔父さんの骨董屋に世話になっている松公。とんだ与太郎で身仕舞いをきれいにしろと言われれば猫のヒゲを抜く、猫の爪を切る、表の掃除をしろと言えば水の撒き方もわからず通る人に水をかけてしまう。 三遊亭圓生, 三遊亭金馬, 古今亭志ん生, 柳家小三治
6.鹿政談 奈良東大寺近くで三条横町の豆腐屋を営む六兵衛は、早朝に豆腐の仕込みをしているところ、外に出してあった「オカラ(切らず・卯の花)」を食べている犬に薪割りを投げつけます。 三遊亭円歌(二代目), 三遊亭圓生, 五街道雲助, 柳家小三治, 桂米團治(五代目・小米朝), 桂米朝
7.しわいや 始末の先生のところへ訪ねてきた男。自分も始末に関しては誰にも負けないと思っていたがこの先生にはかなわないとたびたび始末の方法を教えてもらいに来ます。 林家正蔵(八代目・彦六の正蔵), 桂枝雀, 桂米朝, 金原亭馬生
8.百川 江戸は日本橋、浮世小路にあった名代の料亭「百川(ももかわ)」に、百兵衛という下働きの男が来ます。 当分洗い方の手伝いをして、慣れてきたら出前なども頼みたいと話していると二階のお客さんから呼ばれます。 三遊亭圓生, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家さん喬, 柳家小三治, 金原亭馬生
9.青菜 ある隠居の家で仕事をしている植木屋。隠居から「ご精が出ますな」と声をかけられ大阪の友人からもらった『柳蔭』 三笑亭可楽, 春風亭一之輔, 春風亭柳橋, 柳家小さん(五代目), 柳家小三治, 桂文珍, 桂枝雀
10.一眼国 江戸両国で見世物小屋を開いている香具師の親方。 諸国を歩く六十六部を家に上げ、諸国をめぐっているうちに何かめずらしいものを見たとか、見世物のネタになりそうな話を教えて欲しいと頼みます。 古今亭志ん生, 春風亭柳朝, 林家正蔵(八代目・彦六の正蔵)
11.素人鰻 明治維新後の秩禄処分(ちつろくしょぶん)で、一時金は入ったが以降の家禄を失った旗本。 以前に屋敷に出入りをしていた明神下「神田川」の元板前 金のすすめで鰻屋をはじめることに 柳家小三治, 桂文楽
12.二十四考 大家が一軒の亭主に小言を言っています。 ここには三十六軒あるがのべつ喧嘩をしてるのはお前のところだけだ。今朝はどうしたんだと聞きますと、 三遊亭圓生, 三遊亭金馬, 古今亭志ん朝, 林家正蔵(八代目・彦六の正蔵), 立川談志
13.売り声 江戸時代からの物売りの声です 宮田章司
14.船徳 遊びが過ぎて勘当になった若旦那 徳三郎。船宿の二階で居候をしていましたが、居心地が悪く、船頭になると言い出します。 念願叶って船頭になった徳三郎、四万六千日様で浅草寺詣りのお客を乗せます。 五街道雲助, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家小さん(五代目), 柳家小三治, 桂文楽, 金原亭馬生
15.お化け長屋 必聴 金馬・志ん生のリレー落語 ある長屋。住人たちが空き家を物置代わりに使っていたら、大家が長屋連中から店賃の割り前を取ると言う。 借り手がつかないようにしてやって生涯物置代わりにしてやろうじゃないかと企んだ連中、店子の古株 古狸の杢兵衛が、借り手が来たら俺のところへ寄こせ、断ってやるということになります。 三遊亭圓生, 三遊亭金馬, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家小三治, 桂歌丸, 立川談志
16.たが屋 安永の五月二十八日、両国では川開きで花火が行われて両国橋の上は大勢の見物人で賑わっています。 本所から旗本の一行が「寄れい、寄れい!」と人ごみを押しのけて橋を渡ろうとしています。 三遊亭圓楽, 古今亭右朝, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 金原亭馬生
17.夏の医者 夏の暑い日。ある村で父親が農作業中に倒れたと叔父の家に駆け込んできます。 村には医者がおらず、息子は山を三つ越えて医者を呼びに行きます。 三遊亭圓生, 桂枝雀, 桂米朝
18.佃祭 神田お玉ヶ池の小間物問屋の主人次郎兵衛。今日は楽しみにしていた佃島・住吉神社の大祭が開かれますので朝からうきうきと支度をしています。 三遊亭金馬, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 春風亭柳朝
19.あくび指南 ある男、あくびの稽古をしに行きたいと友達を誘います。 あくびなんてのは稽古する必要はないと言うのを無理に誘って「あくび指南所」へ。 三笑亭可楽, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 桂枝雀, 桂米朝, 立川談志
20.水屋の富 玉川や神田上水で汲まれた水を差し担いにして、客に売り歩いている水屋。 毎日のことで休むこともできず、他の商売をしたいと富くじを買います。 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家さん喬
21.紙入れ 貸本屋の新吉。出入り先のおかみさんと割りない仲が続いています。 おかみさんから、今日は旦那の帰りがないから泊まりにおいでと手紙をもらい、それを紙入れにしまって出かけます。 三遊亭圓生, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 古今亭志ん輔, 古今亭菊之丞, 柳家喬太郎, 柳家小さん(五代目), 桂歌丸, 立川談志, 立川談笑
22.千両みかん 呉服屋の若旦那。急に患いつき十日あまりも食べるものも食べずに寝込んでしまいます。 医者は「これは心の病、気の病で心に思っていることがなくなれば、良くなるだろう」と 五街道雲助, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家小三治, 桂枝雀, 桂米朝, 立川志の輔, 金原亭馬生
23.麻のれん 按摩の杢市(もくいち)は、目の見える人なんかに負けないといつも胸を張っています。 贔屓のだんなの肩を揉み、目明きは気の毒だなど話をしているうちに夜遅くなり、 古今亭志ん生
24.三年目 他人も羨む仲の良い夫婦、妻がふとしたことから病の床につき、主人も一生懸命看病をしますが六人変えた医者もさじを投げ、もう今日か明日かという状況になります。 三遊亭圓生, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 柳家小三治
25.唐茄子屋政談 勘当?結構、お天道さまと米のメシはついてまわりますから 三遊亭圓生, 三遊亭金馬, 古今亭圓菊, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 林家正蔵(八代目・彦六の正蔵), 柳家さん喬

特集3 夏に聞きたくなる落語 Rakugo Times選

演 目
概  要
聴き比べ
夏は怪談 親の因果が子に報い・・・怖い噺勢揃い
1.死神 消える・・消えるよ・・ 怪談と言えば真っ先に思い浮かぶ噺です。消えるか消えないか男が死ぬか死なないか演者によって結末が変わるので気が抜けません。 三遊亭圓生, 三遊亭金馬, 柳家さん喬, 柳家小三治, 立川志の輔, 立川談志
2.もう半分 お爺さんの怨みが生まれた子に・・。 五街道雲助, 古今亭今輔, 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 金原亭馬生
3.真景累ヶ淵(三遊亭圓生) 通し八時間 圓朝怪談の最高峰 真景累ヶ淵。殺された宗悦の怨霊が世代を越えた因縁となり 三遊亭圓生, 古今亭志ん朝, 林家正蔵(八代目・彦六の正蔵)
4.真景累ヶ淵(桂歌丸) 歌丸渾身のライフワーク 圓朝以来の「お熊の懺悔」を加えた通し7時間たっぷり。 桂歌丸
5.怪談累草紙 与右衛門が帰省の旅で見初めて契を交わした女は・・。 林家正蔵
6.江島屋騒動 よくも娘を殺したな よくもお里を殺したな。イカものの婚礼衣装を売った江島屋への怨み 一龍斎貞水, 古今亭志ん生, 桂歌丸
7.大丸屋騒動 上方には珍しい世話物。でもオチはあります。妖刀村正を手にした男が街ゆく人を次々に 桂文枝(五代目), 露の五郎兵衛
8.怪談牡丹燈籠 カランコロンと下駄の音。萩原新三郎に焦れ死にをした旗本飯島平左衛門の娘お露が新三郎のもとに通います。 三遊亭圓生, 桂歌丸
9.怪談市川堤 京都西陣の織物問屋 越後屋の息子治郎吉は十代から飲む打つ買うを覚えた極道三昧。 桂米朝,林家正蔵(八代目・彦六の正蔵), 露の団四郎
10.怪談阿三の森 蛤町に住む漁師 善兵衛の娘”おかの”は、奉公先の旗本・松岡半之進のお手がついて妊娠、実家に帰されて女の子を生みますが・・ 古今亭志ん生
11.年枝の怪談 明治の頃、噺家の二代目 春風亭柳枝が一座が横浜で巡業をしていたある晩。 按摩と柔道の締めあいをして、按摩は動かなくなってしまいます。 林家正蔵, 林家正雀
12.生きている小平次 五月半ば、奥州郡山安積沼に船を浮かべて釣りをしている小平次と太九郎。太九郎が女房おちかを自分にゆずってほしいと頼んだことから喧嘩になり小平次は太九郎を殺してしまいます。 林家正蔵
13.耳なし芳一 「芳一!、ほういち!!」と呼ぶ荒武者の声がだんだんと近づいてくる恐怖 林家正蔵
夏の食 冷やした柳陰に鯉の洗い もちろん鰻も
14.青菜 ある隠居の家で仕事をしている植木屋。隠居から「ご精が出ますな」と声をかけられ大阪の友人からもらった『柳蔭』という酒があるが一緒にどうかと誘われ、喜んでご相伴します。 三笑亭可楽, 春風亭一之輔, 春風亭柳橋, 柳家小さん(五代目), 柳家小三治, 桂文珍, 桂枝雀
15.そば清(蛇含草) 毎日蕎麦屋にきて十枚の蕎麦をペロッと食べてしまう男に、近所の男が十五枚食べられるかどうか、一分で賭けをやらないかと声をかけます。 古今亭志ん朝, 古今亭志ん生, 桂吉弥, 桂文治, 桂枝雀, 桂米朝
16.後生鰻 あるご隠居。信心深く、殺生はしない。 蚊に血を吸われても痛い痒いを我慢して吸わしてあげるほど。 ある日、浅草の観音様へお詣りをしまして天王橋のところまできますと、鰻屋が鰻を割き台に乗せてキリを通そうとして 古今亭志ん生, 桂歌丸
夏におすすめの落語 泣ける落語も
17.次の御用日 娘いと頭(こうべ)の上にて『あ』と申した。とあるが、奉行何のことやら相分からん 桂枝雀, 桂米朝, 笑福亭仁鶴, 笑福亭松鶴
18.算段の平兵衛 世の中にこれぐらい気の毒な死骸はおまへんで。 桂米朝, 桂南光(べかこ), 桂文珍,月亭八方
19.狸の化け寺 ある村の河の堤の修理に訪れた黒鍬組。狐狸妖怪が出るという寺を宿泊所にして・・。 桂ざこば, 桂米朝
20.菊江の仏壇 北新地の芸者菊江に入れ込んでほとんど家に帰ってこない若旦那。体調をくずした妻を見舞いもせず、ついに妻は帰らぬ人に。 五街道雲助, 柳家さん喬, 桂小南(二代目), 桂歌丸, 桂米朝, 金原亭馬生
21.蚊いくさ 剣術に凝って仕事そっちのけで道場に通う八百屋の八五郎。 女房から子供が蚊に喰われてかわいそうだが蚊帳を質から出す金もない。 三遊亭圓生
22.応挙の幽霊 旦那の好きな幽霊の掛け軸を持って旦那のところへ何度も行った骨董屋。ずっと留守で明日にしようかと思っていたところへ旦那が訪ねてきます。 三遊亭円歌, 入船亭扇橋, 笑福亭生喬
23.孫帰る 泣ける創作落語。 夏休み、小学生の孫 健一がおじいさんの家に遊びに行くと、おじいさんはなんと箪笥の上に乗っています。 柳家喬太郎
24.与太郎戦記 笑いの中の壮絶な戦史 戦時中の上海。 部下十五人を率いて貨物船に兵士を乗せ、香港までの警護を命じられた陸軍の秋本伍長は、役に立たない機関銃三丁と花火のような仕掛けの秘密兵器を持って小さくて汚い石炭船で 春風亭柳昇

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