幽女買い~立川談志



幽女買い~立川談志


暗いような明るいようなおかしなところに来てしまった太助。
声をかけられて振り向くと、三ヶ月前に死んだはずの源兵衛がいる。

太助が「死んだお前が何でここに居るんだ」と聞くと、源兵衛は「お前も死んだからだ」という。

太助が源兵衛の通夜の席で、「源兵衛みたいな助平は、どっちみち地獄堕ちは間違いない。弔いはいいかげんにして、焼いて粉にして屁で飛ばしちまおう」のを聞いていた。
「仏になっても灰にならないかぎりはちゃんと聞こえてるんだ」と源兵衛。

そういえば、と思い出すと自分も、医者と女房が「ご臨終です」「ほんとに死にましたか?」「ちゃんと始末しましたから」と話してるのを聞いた。ちくしょうめ。

源兵衛は一杯ご馳走すると言い、こっちへ来ると精進モノが一番うまいんだ。一杯やって女でも買って遊ぼうと言いますが、まだ時間が早いので寄席へ向かうと東西の大看板が勢揃い。

死吉原の大門をくぐると、左に不思議町(伏見町)、冥土町(江戸町)、右にあの世町(揚屋町)、末期屋(松葉屋)、魂屋(玉屋)、終わり屋(尾張屋)、恨み屋(三浦屋)、首つる屋(鶴屋)とひやかして行くと、小見世の格子から幽女が、「ねぇ、ちょいと上がってといでよ」と声をかけます。

覚書

マクラで触れられている通り、現代ではやらなくなった古い噺を掘り起こしたもので、明治中期に、六代目桂文治が「魂祭」(たままつり)、二代目三遊亭小円朝が「亡者の遊興」の題で演じた速記が残るだけの噺を、談志が独自の演出を加えて復活させました。

前段の「焼いて粉にして屁で飛ばしちまおう」や女房と医者の密通しているらしい会話、花魁の「往生させてやるから」などのセリフが秀逸ですね。

ただ、どうしても「地獄八景」と比べると見劣りするのも事実で、談志以降演り手がなくなってしまいました。

艶笑の色を強めればもっとおもしろいものになるかと思いましたが、そうすると地にもぐってしまうのかな。

こちらも合わせてたっぷりどうぞ