べかこ~桂米朝【動画】


お笑い・漫才芸人列伝NEW!!
古今東西のお笑い・漫才芸人の貴重な映像・音声を集積。
明治・大正・昭和・平成・令和の数々の芸人を、映像と音声で紹介します。



狆が茶を吹いたような顔

べかこ~桂米朝【動画】

噺家の泥丹坊堅丸が九州の方へ巡業に行きまして御難(興行で客が入らない)に遭い、肥前の武雄という温泉場の宿屋 大黒屋市兵衛が助けてやろうと居候をさせてもらい、座敷や催しなどにも売り込んでくれています。

ある日、城から菅沼軍十郎という侍が大国屋を訪ね、姫が気鬱になっており、何か晴れやかな催し事をしたほうがよいと考え、大黒屋に上方の芸人がいると聞いて来たと言います。

噺家と聞いて、それは究竟。姫の御前であるので、どのような芸人でもよいというわけにはまいらん。噺家と申す者はどの様な高貴な席へ出しても構わんものじゃ。今日の暮れに連れて参るようにと言って帰ります。

夕方。支度を整えた堅丸と市兵衛はお城へ向かいます。

姫の御前であるから下品な噺はならん、と言って上品な噺だけでは面白味も薄いので適当にくだけたほうが良いなどと注文をつけられまして、後に噺の参考にもなるであろうと城中を案内してもらいます。

松の間では狩野法眼光定の松の絵、梅の間では同じく光定の梅に鶯の絵、桜の間では狩野古法眼元信の遠山桜。

何か参考になるかと聞かれて「梅と松と桜やさかい、三光にならなしょうがおまへん」。

牡丹の間では牡丹に唐獅子、次は菊の間と来て、堅丸は「次は紅葉の間では?」と聞きます。よくわかったなと言われて「はい、これでちょうど青タン」

最後に大きな鶏の絵が描いてある鶏の間に通されて「ここが休息の間である」と改めてお茶とお菓子が出されます。

座布団に座ってお茶をいただいておりますと、廊下に来た腰元三人、どんな男が来たのかと襖の隙間から覗いて笑いだし、このような面白い顔をした男を見たことがございません。「狆が茶を吹いたような顔」「水桶の紐通しのような顔」と言いたい放題。

泥丹坊堅丸、これを聞いて「馬鹿にしやがって。ちょっとびっくりさせてやろう」と隙き見をしている襖の下に這いつくばり、腰元たちが姿が見えないと襖を少しずつ開けていったところで「べかこ~!」とあかんべえをした顔を突き出しましたので、腰元はびっくりして悲鳴を上げて逃げ惑います。

これを聞きつけた家臣、不届きな奴と堅丸を縛り上げてしまいます。

覚書

上方の売れない噺家「泥丹坊堅丸」(泥田坊堅丸)。
深山隠れ」や「狼講釈」にも登場して、九州で御難に遭います。

深山隠れ」は米朝、桂吉朝以降耳にする機会がありません。
「狼講釈」は長らく演じ手がいませんでしたが、露の雅、露の新治が復活させて得意にしています。

この噺も例に漏れず堅丸が御難をするところから始まりますが、こんな噺を演っていると、自分も売れなくなると廃れてしまったのを、米朝が文の家かしくに教わり、雑誌の速記を参考にして復活させた噺です。

大阪の人間でも「べかこ」「ざこば」などという言葉は知らず、米朝が弟子につけた名前によって身近なものになりました。噺も言葉も復活させた米朝さんに敬服です。

べかこ(べっかんこ・あかんべえ)
ざこば(雑喉場・魚商人らが魚荷の集散に便利な鷺島(京町堀)に出張所を設けて発展した)

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