深山隠れ~桂吉朝






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次々と帰らない村人を探して

深山隠れ~桂吉朝

泥田坊堅丸という名前の大阪の噺家が、ある旅回りの一座に所属して九州は天草で公演を行っていましたが不入りで一座が解散となり、わずかばかりのお金をもらって一人になります。不慣れな土地で山の奥に迷い込んでしまい、小川を下っていけば人家があるかと川に沿って下っていきますと、一軒の民家におばあさんが糸を紡いでいるのを見つけて休憩させてほしいと頼みます。

ご飯も食べさせてもらって、聞かれるままに大阪の噺家だと言い、落とし噺をいくつか披露しますが通じません。少し散歩をしたいと言って外に出ますと男が鯛を売っていますので値を聞くと二文。他にもイカもつけてやると言われ安いと思って買って帰りますと、おばあさんは高いとびっくり。

しばらく世話になっているうちに堅丸に縁談が持ち上がり、ある家に養子に入ることになりますが、都会育ちですので退屈してまいります。ある日、年に一度、村でまかないきれないものを町に買いに行く”買い出し”があると聞き、自分が行くと名乗り出て気の合う者四、五人で出かけます。

町までは”噺家山怨霊が嶽”という山を越えて往復四五日の道のりですが、二十日たっても帰って来ない。また四五人に様子を見に行かせたが帰ってこない。もう四五人、もう四五人と送り出しますがことごとく帰ってこず、村に男手がなくなってしまいます。

村の様子を聞いた庄屋が長男に様子を見てくるようにと送り出しますが、これも帰ってこない。次男は兄より腕も立ちますので私が行ってまいりますと出立します。山道を進みますと、辻堂の脇に女がうずくまっているのを見つけます。聞けばこのあたりに住む、やまがつ(山賤・山仕事を生業とするきこりや杣人)の娘。持病の癪で難儀をしていたが治まったと言います。

一夜の宿を提供したいと言うので、女について山を登りますが女の足が早く追いつけないほど。これは只者ではない、狐狸妖怪の類かと、女が振り向くところを斬り殺します。さて尾はどこだと探したがなく、これは人間であったか済まないことをしたと先を見ますと灯りの漏れているところがあり、ここが娘の住まいか。詫びて済むものではないけれど父親の様子を見てみようと近づきますと、二十人ほどの荒くれ男。

今、妹御前がカモを探しに行っている。戻ってきたらこれが千人目。生き血を神に捧げることでお頭の願いが叶うと声高に話しております。さてはこ奴らが村人を殺したかと、飛び込んでこれらを切り捨てて奥へ。奥には殺した娘の姉と見られる女がおり・・

覚書

上方の噺家”泥丹坊堅丸”。「深山隠れ」や「狼講釈」にも登場する売れない噺家で、地方周りの旅先で毎回ご難に遭います。今回は九州が舞台。

江戸落語の長いものはじっくりと聞かせる人情噺が多く、世話物と呼ばれる真景累ヶ淵牡丹灯籠などの続きものも多いのですが、上方では(米朝曰く)笑いを中心としたしょ~もない噺が多くあり、東の旅など一日一話で全部語ると一ヶ月かかるというものもあります。

この噺もそのひとつで、吉兆がマクラで語っているように、噺の筋が乱雑で主人公の入れ替わりなど物語として成り立っていないという向きもありましょうが、「その場が面白かったらええねん」と気軽に楽しめばよいと思っております。

落語 深山隠れ ディスコグラフィー

桂文我(CD)

深山隠れ~桂吉朝” に対して2件のコメントがあります。

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