権兵衛狸~立川談志・桂枝雀他【動画】



あぁ、朧月夜か。狸の野郎が浮かれて悪さぶちに来やがったな

桂枝雀~権兵衛狸

上方では呼び方は「トントン ゴンベはん トントン ゴンベはん」
マクラで「みちこさん」は「みちこはん」のように東西のアクセントの違いについて語っていますが、確かに東京はスッキリ、関西はもっちゃりしてまんなぁ。

春。山合いに住んで床屋を営む権兵衛。
近所の人たちは仕事が終わるとここへ集まって四方山話をします。

今日もずいぶん遅くまでわいわいやっておりましたが、明日の仕事に差し支えると皆帰っていきます。

手造りのどぶろくを寝酒にちびちびやりながら、死んだ女房のことや嫁に行った娘のことなどを考えています。

そろそろ寝ようかと床に入ると

「トントン ごんべぇ トントン ごんべぇ~」
と戸を叩いて権兵衛の名を呼ぶ声が聞こえます。

外に出てみると誰もいない。

また床に入ると、「トントン ごんべぇ トントン ごんべぇ~」
外に出てみると誰もいない。

ははぁ、今夜ぁ朧月夜か。狸の野郎が浮かれて悪さぁぶちに来やがったな

権兵衛さん、今度は戸口に隠れてまた狸が来るのを待ちます。

狸が戸を叩く時には、尻尾でも手でもなく、後ろ向きになって頭で叩きます。
タイミングを測って戸をガラっと引き開け、
支えを失って家の中に転がり込んだ狸を取り押さえます。


覚書

話の筋もサゲも、さしておもしろいというものではないですが、
前座から真打まで、東京で広く語られる、ほのぼのとした昔話のような噺です。

東京から上方へ移され、筋は全く同じですが、
上方では季節は秋として語られる場合が多いようです。

もともと狸の季語は銀杏も散ってしまう晩秋から冬になると
山で食べるものが無くなった狸が人里に下りてくる。

与謝蕪村の句に「戸を叩く狸と秋を惜しみけり」というのがあり、
冬の風が戸を叩き、狸が訪ねてきているように聞こえる。
狸と一緒に秋を惜しもうか、という句で、こういうのを意識しているのかもしれません。

ただ、私は冒頭に書いた
「あぁ、今夜は朧月夜か。狸の野郎が浮かれて悪さぶちに来やがったな」というフレーズが大好きで、

厳しい冬が終わって、少し暖かくなった山合いの田舎家、
狸も浮かれ出そうなほのかにかすんで淡い光の朧月が目に浮かびます。

この噺を聞くと、芝浜で熊五郎が芝の浜で煙草を一服つけながら夜明けを待つ場面、

「お、お天道様がでてきた。いい色だなぁ、よく空色っていうと青いもんのことをいうけれど、
朝、日の出の時ってのは五色の色だ。小判みたいな色、白いようなところもあり、青っぽいところもあり、どす黒いところもあり・・」
というのも思い出します。

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