怪談乳房榎~桂歌丸・三遊亭圓生



重信の幽霊が絵を描き上げ

怪談乳房榎~桂歌丸

(調整中)

絵師 菱川重信

秋本越中守家中で二百十石を取っていた間与島伊惣次。
趣味の絵が評判になり、諸方から頼まれて絵を描いておりましたが、仲間からは侍ではない絵描きだと言われ、これが殿様の耳にも入って長の暇(いとま)ということになります。

菱川重信と名前を変えて絵師になり、二十四の美しい妻 おきせと生まれたばかりの真与太郎と三人で柳島に移り住んでいます。

磯貝浪江の入門

その年の三月十五日、向島の木母寺で大念仏が行われる日で、三人でお参りを兼ねて花見に出かけ、地紙折りの竹六を見かけて頼まれた絵が出来上がっているから取りに来るようにと言います。

この様子を見ていた二十七、八の浪人 磯貝浪江が竹六に重信のことを聞き、弟子入りしたいので紹介してほしいと頼みます。

菱川重信に入門した磯貝浪江。絵も上手く、先生にもよく仕え、まわりにもよく気を使うので家の中の評判もよい。

南蔵院の依頼

ある日、高田砂利場村の南蔵院から本堂の天井や襖に絵を描いてほしいと頼まれた重信は、襖には四季のものや花蝶など華やかなものを、天井には雌龍、雄龍を描かせてもらうと引き受け、下男の正介を伴って高田砂利場村へ向かい、南蔵院に泊りこんで描き始めます。

家に残ったのは女房のおきせと真与太郎、下女のお花の三人。ここへ磯貝浪江は毎日のように訪ねて来て用事をしています。

浪江とおきせ

ある夜、磯貝浪江は仮病を使ってこの家に泊めてもらい、おきせに迫り、言うことを聞かねば真与太郎を殺すと言われ、おきせは一度切りだと言って枕を交わします。

しかし一度ではおさまらず、二度三度と度重なるうちに、おきせのほうから浪江を誘うようになります。

浪江は重信が戻ってくればこの関係が終わってしまうと考え、菓子折を持って南蔵院へ向かいます。

浪江の企み 正介の加担

重信は浪江の来訪を喜び、浪江に天井画の雌龍、雄龍を見せます。
まるで生きているような素晴らしい出来で、重信は、雌龍の片腕を描き上げれば完成すると言います。

浪江は正介を連れだし、料理屋に誘って酒をすすめ、正介に小遣いとして五両を渡します。

正介はそんな大金はもらえないと断りますが、浪江は正介と叔父甥の間柄になりたい。自分の土地の田や畑の面倒をみてもらいたいと言い、正介は承知して固めの盃を交わします。

親戚になれば隠し事は無しだと、おきせとの不義密通を打ち明け、重信を殺す手伝いをしてくれ、断れば殺すと脅します。

重信殺し

やむなく承諾した正介は寺に戻り重信を落合の蛍見物に誘いだし、蛍を堪能した二人は帰り道に浪江の潜む田島橋にかかります。

浪江は竹槍で重信を突きますが竹槍は太ももに。二人が対峙したところで正介が後ろから木刀で重信の頭を殴り、重信が振り向いたところを浪江が刀で命を奪います。

浪江は正介に「先生が悪者に殺された」と言って来いと命じ、寺に戻った正介が寺の者に報告しますが、寺の者は「先生はいつも通り絵を描いている」と言う。

雌龍の完成

嘘だと思ったら本堂へ行って見てこいと言われ、正介が恐々覗きますと、重信は雌龍を描き上げ「菱川重信」と署名して落款を押し、血だらけの顔で「正介 何を覗く」と言うと一陣の風で蝋燭が消えます。

正介の悲鳴を聞いた寺の者がかけつけて見ると、重信の姿は見えず、雌龍の片腕が描き上げられ、まだ濡れている署名と落款。

「田島橋で先生が殺された」とうわごとのように繰り返す正介の言葉に半信半疑で見に行った寺の者、はたして重信が無残に殺されています。

すぐに役人に届けますが下手人はわからず、おきせに知らせると気も狂わんばかりの悲しみよう、浪江は草の根をわけても下手人を探し出して真与太郎に仇を討たせると言います。

浪江と正介

人の勧めもあって、おきせは浪江と一緒になり懐妊しますがそれ以来、おきせの乳がぱったりと出なくなります。

浪江は正介を呼び出し、真与太郎が大きくなればきっと自分を仇と狙うようになるから今のうちに始末しろと言います。

自分の妹が子供を産んで乳が出るので、おきせの乳が出るようになるまで真与太郎をお預かりすると言って連れ出し、十二社の滝壺に放り込んで殺せという。

正介は断れば殺すと言う浪江に屈して、浪江に言われた通り自分の妹のところで預かるとおきせに言い、おきせも承知して「正介よろしく頼む」と真与太郎を預けます。

真与太郎と正介 重信の幽霊

正介が真与太郎をおぶって四谷にかかった頃は夜の十時を過ぎております。

十二社の滝に立った正介、「坊ちゃま、勘弁してください 南無阿弥陀仏」と滝壺に投げ込みます。

その途端、重信の幽霊が現れ「この場でお前の命を取ることもできるが真与太郎を養育して磯貝浪江を討たせろ」と命じます。

乳房榎

正介は自分の生まれ故郷、練馬赤塚村の松月院に真与太郎を連れていき、自分は寺男として住み込みます。

真与太郎が乳を欲しがって泣きますと、境内の大きな榎から人間の乳のような樹液が出るのを飲ませて育てます。

一方、おきせは乳の下にできた吹き出物が広がって大層痛く、そのうち「乳の中に雀が住んでつつくから退治してくれ」と浪江に頼み、浪江はお腹の中の赤子もろともおきせを斬り殺します。

真与太郎が五歳になったとき、正介の居場所を知った浪江が松月院に来ますが、乳房榎の前で仇討ちをし、これが評判になり、真与太郎十五歳の時に秋本越中守に帰参がかなうという、圓朝作 乳房榎でございます。

覚書

圓朝作 全三十六段の人情噺(世話噺)で、映画にもなり歌舞伎などでもたびたび上演されます。近いところでは2014年の平成中村座公演でも好評を博しました。

怪談乳房榎(上下)~三遊亭圓生


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