徂徠豆腐~入船亭扇辰・広沢春菊・立川志の輔【動画】






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情けは人のためならず。貧乏学者にオカラを届け続けた豆腐屋七兵衛

徂徠豆腐~入船亭扇辰

豆腐屋の上総屋七兵衛。芝増上寺門前の路地にある貧乏長屋の前を通りかかると、男に声をかけられます。男は豆腐を一丁頼み、その場でがつがつと食べてしまいます。

お代は四文です、と七兵衛。細かいのは持ち合わせがないと男が言うので、では翌日ということにしますが、数日の間豆腐を食べるものの払いはなく、結局大きいのも細かいのもない一文無し。長屋の男の部屋を覗くと本の他は何もなく、学者として召し抱えられた時に出世払いをしたいと言います。

気の毒に思った七兵衛は、それからこの男を先生と呼び毎日オカラを運びますが、ある時体調をくずして寝込み、男のことが気にかかりながら数日養生をします。体調の戻った七兵衛、先生は大丈夫だろうかと長屋へ行きますが、家を引き払った様子で行方が知れません。

ほどなく七兵衛の店が火事で焼失、しかし、日頃の付き合いというのはありがたいもので、友人に「自分の家においで」「私の家においで」と声をかけてもらい、世話になります。そこに「焼け出された七兵衛さんはこちらで?」と大工の棟梁らしい人が尋ねて来て「さるお方から頼まれました。当座のしのぎに」と十両の金を渡して去っていきます。

覚書

荻生徂徠(おぎゅうそらい)と豆腐屋七兵衛の心温まる物語です。徂徠の逸話で最も有名なのは、赤穂事件(忠臣蔵)の赤穂浪士四十七士の処遇を提言したことです。

巷では主君の敵討ちを果たした大石内蔵助を始めとした浪士たちは武士の鏡だと英雄扱い。幕府としてはその処遇を決めかねていましたが、徂徠は「主君への忠義は私的なもので、幕府の法は公のもの。どちらを優先すべきかと言えば公のもので、彼らは死罪となるべきでしょう。しかし、巷では賞賛されるべきものであるため斬首ではなく名誉ある切腹とすることで世間も納得し、法の権威も保たれる。また、彼らは死ぬのですからこういう真似をする者への抑止にもなるでしょう。」

徳川吉宗の知恵袋として、政策の提言を『政談』全4巻としてまとめますが、内容が正論すぎて側近が吉宗に提出せずにぎりつぶしてしまったとされています。内容は、反自由・反平等・反啓蒙の思想のもと、戸籍管理の徹底「出替り奉公人の取締りのこと」「浪人ならびに道心者の取締りのこと」、実力主義・成果主義による人材登用や活用「諸役人の才徳を見分けること」「諸役人には器量ある者を選ぶべきこと」などで、江戸の病理を正す政策が述べられていますが、今日で言えば人権無視で、徹底的な取締方法が述べられています。

『政談』

悪魔の統治術か。近代的思惟の先駆けか。江戸の<病理>に立ち向かった、日本近世思想史の巨人による政策提言集。

開闢以来第一の人物と同時代人にも称賛された日本近世思想史の巨人、徂徠。将軍吉宗の下問に応えて彼が献上した極秘の政策提言書には悪魔的な統治術の数々がしたためられていた。反自由・反平等・反啓蒙の立場の表れか。近代的思惟の先駆けか。それは江戸の現実と病理に立ち向かった実践的思索の集積であった。いまも論争を呼ぶ経世の書を平明な現代語で読む。

<「政談」巻末より>
「機事、密ならざれば、則ち害生ず」(『易経』繋辞上伝)ということがあって、幕府の政治上の機密は明白に人に語るべきものではないから、この物語は弟子にも書かせず、私自身の老眼と悪筆で認(したた)めたことである。将軍様の上覧に入れたのちは、焼却していただきたい。
物部茂卿 敬 識(もののべのもけい つつしんで しるす)

荻生徂徠 「政談」 講談社学術文庫 尾藤正英(翻訳)より

徂徠豆腐~浪曲・広沢春菊(二代目)

三味線を伴奏に節(歌)と啖呵(語り)で話が進みます。こちらでは、上総屋は増上寺への出入りを許され、巷ではここの冷奴を何もつけずに食べると出世ができる「出世豆腐」、オカラを食べると「火災保険に入るより確か」という大繁盛。講談にはサゲはありませんので、”情けこそ 人の心の鏡という” で終わります。

徂徠豆腐~立川志の輔

落語 徂徠豆腐 (Sporify)

入船亭扇辰/徂徠豆腐

三遊亭鳳志/徂徠豆腐

落語 徂徠豆腐 ディスコグラフィ

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入船亭扇辰
CD

神田すみれ
談集・CD

一龍斎貞寿
談集・CD

尾崎雅英(訳
文庫本

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